弁(バルブ)

弁(バルブ)は多くの種類があり、それぞれに特徴があり、使用目的によって使い分ける必要があります。

仕切弁・・・流路がまっすぐで流路に対し直角に弁がゲートのように上下に動き開閉する弁です。圧力損失が小さく、全開または全閉の状態で使用するのには適していますが、開度の調節には向きません。チャタリング※1等のトラブルを起こします。
※1 可動接点などが接触状態になる際に、微細な非常に速い機械的振動を起こす現象

玉型弁・・・円錐型の弁を上下させることによって開閉し、中を通る流体の量を調整するのに優れています。流体の遮断性が高いため「ストップバルブ」とも呼ばれ、また「グローブ弁」とも呼ばれます。一方で、圧力損失※2を生じやすいです。
※2 流体が配管などを通る際に失う圧力低下、流量低下、流速減少のことを言います。

ボール弁・・・穴の空いたボールが流路に対して90度動くことで開閉できる弁です。急な開閉が行える一方で、ウォータハンマの原因となります。流量調整が行いにくいです。

バタフライ弁・・・弁を90度回転することで開閉することができ、開度を調節することでの流量調整機能に優れています。また、幅をとらないため、省スペースで設置可能ですが、高温・高圧の流体には不向きです。

逆止弁・・・配管に流体が逆流しないようにする目的で使用され「チェックバルブ」とも呼ばれます。

ダイヤフラム弁・・・ダイヤフラムは横隔膜という意味で、他のバルブと異なり、弁棒などの駆動部と流路がダイヤフラムで遮断されているので、外部に漏れることがありません。温度条件に制限があり、高圧の流体には不向きです。

管継手・配管の接続

熱による膨張・伸縮対策
 配管・継手には熱によって膨張・伸縮することで破断することがあります。
 コールドスプリング・・配管組み立て時に熱膨張と反対向きにあらかじめ荷重を掛けて使用することで運転時の最大変位を減少させる方法です。

振動に対する対策
 加振源となる機械の周波数と配管内のガスや液体と共鳴周波数が一致すると、気柱振動※3を起こします。機械固有の振動は配管との共振を防止するため、サポートによる支持を追加したり、固定バンドによって固定することで、配管の劣化を防ぐ必要があります。
圧力変化(圧力脈動)を防ぐには、配管長さの変更やオリフィス挿入による流量変更が有効です。
※3 気柱振動・・・気柱とは管の中の柱状の気体のことであり、これが振動する現象のこと。

地震に対する対策
 高圧ガス設備に対する耐震対策は経済産業省告示第220号 高圧ガス設備等の耐震性能を定める告示【耐震告示】で定められています。耐震設計構造物の設置地点において想定される最大級の地震動に対して、設備の影響度によってⅠa、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに分けられる。

緩みへの対策
 バルブや継手は使用状況、時間経過により、緩みことがあり、それにより漏えいの原因となる。
ホットボルティング・・・設備を稼働させ、ガスが配管中を通ると使用中の配管等の温度が上昇することがある。フランジの接続等は昇温されていない状態で行うため、温度が上昇した際にボルトが緩む可能性がある。運転開始時の昇温中に増し締めを行うことを言う。
 
 管継手の種類
固定式管継手

可動式管継手
 例:ベローズ形伸縮管継手、滑り伸縮型管継手
接続方式による分類
フランジ
 フランジは部材と部材を接合するためのツバのことを言い、下図のように円盤のものが多いです。ボルトとナットで締め付けるため、容易に取り付けが可能です。一方で、漏れの原因ともなり得ます。

差込み溶接式管継手
 差込み溶接式管継手とは配管を差し込んだ後、溶接する継手です。強度は突合せ溶接式管継手より劣ります。溶接部に振動等によって応力の集中が懸念される箇所では破断する恐れがあるため、使用を避けます。振動や腐食の激しい箇所や急激な温度変化が生じる箇所には使用を避けた方が良いです。

突合せ溶接式管継手
 突合せ溶接式管継手とは2つ継手を同じ面で接合したものです。溶接箇所の結合力が強いため強度が強くなり熱伸縮の大きい蒸気配管によく用いられます。完全溶込み溶接と部分溶込み溶接の2種類があり、完全溶込み溶接では、接続される管材料と同じ強度を持つことが可能です。一方で、施工が難しい溶接です。

ガスケット・パッキン

ガスケットとは固定面に挿入し漏れを防ぐためのシール材をいいます。
パッキンとは往復運動や回転運動のしゅう動部等、運動面に挿入し漏れを防ぐためのシール材をいいます。

ガスケットの種類と特徴
ジョイントシートガスケット
繊維材料・充填材・ゴムからなる柔軟性に富んだシート状のガスケット材料で非金属です。
うず巻型ガスケット
V字形をした金属製のフープとフィラーと呼ばれるクッション材からなるセミメタルガスケットです。高温高圧まで使用でき、しかもシール性に優れた高性能なガスケットです。
メタルジャケットガスケット
メタルガスケットは、軟質ガスケットが使えない高温・高圧条件や高度のシール要求がある場合に用いられます。
シールテープ
配管のつなぎ目に使うテフロン製のシールのことです。

パッキンの種類と特徴

グランドパッキン
ポンプ(回転運動部分)やバルブ・プランジャーポンプ(直線運動部分)等に巻き付けて使用されるパッキンです。焼き付きを防ぐため、ある程度の漏れが起こり、比較的寿命が短く、簡易な構造です。
メカニカルシール
液体を扱うポンプやシリンダなどの回転部にのみ使用されるパッキンです。漏れがほとんどなく、構造が複雑なものが多いです。
オイルシール
潤滑油、水、薬液、ガス等の液体・気体が機械の「すきま」から漏れるのを防ぐパッキンです。

nerima9worker

高圧ガス製造保安責任者試験の研究をしているガス+α 産業ガスの会社に勤務している現役のエンジニアです。 2022年1月から高圧ガスの試験問題・検定問題を研究しています。 平成25年(2013年)の問題から現在までの出題傾向を踏まえオリジナルの類題を掲載しています。

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