ポンプ・圧縮機の過去問傾向
SI単位については、乙種機械の学識にて近年、毎年出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。下記表では、10項目が複数回出題されています。ポンプ・圧縮機の出題範囲は広く、実際の出題も様々な内容から出題されます。網羅的に学習する必要があるため、時間のない方は最後に覚えることをおすすめします。
項目 | 出題数 |
理論動力 | 11 |
キャビテーション | 6 |
水撃作用 | 4 |
等温圧縮・断熱圧縮 | 3 |
全揚程 | 3 |
スクリュー | 3 |
回転数 | 2 |
締切り | 2 |
軸流圧縮機 | 2 |
脈動 | 2 |
その他 | 18 |
練習問題
ここでは、ポンプ分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~9は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問10~13は過去に1度出題されたことのある内容に関する問題です。問14は過去に出題されたことのない問題ですが、重要と思われる内容に関する問題です。
次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。
問1.往復圧縮機の動力を式で表せ。
解答:
Pth:理論圧縮動力[W]、 :圧縮効率、G:質量流量[kg/s]、W:仕事[J/kg]
問2.ターボ形圧縮機の動力を式で表せ。
回答:P=g・G・H
g:重力加速度[m/s2]、G:質量流量[kg/s]、H:実際のヘッド[m]
問3.液体が飽和蒸気圧以下になった時に気化して気泡が発生する現象を何というか。
解答:キャビテーション
問4.吸込み揚程+吐出し揚程のことを何というか。
解答:全揚程
問5.水圧管内の水流を急に締めたときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生する現象を何というか。
解答:ウォータハンマー(水撃作用)
問6.2つのスクリュー回転させて空気を圧縮する圧縮機を何というか。
解答:スクリュー圧縮機
問7.理論動力が大きいのは、等温圧縮、断熱圧縮のいずれか。
解答:断熱圧縮
問8.空気が、シャフトに沿って何列もの回転するブレードと固定ブレードを通過する圧縮機を何というか。
解答:軸流圧縮機
問9.蒸留塔等の段(トレイ)から、蒸気が断続的に吹き出す現象を何というか。
解答:脈動
問10.圧縮機等の製品が破壊してしまうこともある固有の振動速度を何というか。
解答:危険速度
問11.圧力・流量・回転数・所要動力などが周期的に変動し、不安定になる現象を何というか。
解答:サージング
問12.遠心圧縮機の容量調整方法を5つ答えよ。
解答:バイパスコントロール、吐出し絞り、吸込み絞り、ベーンコントロール、速度制御
問13.揚程の計算式を答えよ。
解答:H=ha+hfs+hfd+h0
ha:実揚程(吸込み揚程+吐出し揚程)、hfs:吸込み側摩擦損失
hfd:吐出し側摩擦損失、h0:残留速度ヘッド
問14.キャビテーション発生条件を不等式で表せ。
解答:「利用し得るNPSH」>「必要NPSH」
問15.ターボ形圧縮機の速度比を式で表せ。
解答:
N:回転数[rpm]、Q:流量[m3/min]、Had:断熱ヘッド
演習問題
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.往復圧縮機の吐出し体積流量は、回転数にほぼ反比例する。
解答:誤り 反比例 → 比例
解説:理論動力は、F:回転する方向に作用する円周力、r:半径、ω:角速度、Q:流量、ρ:密度、H:ヘッドとすると、P = ρQH = T・ω = F・r・ωで表されます。
重要:理論動力に関する問題は過去に11回出題されてます。
問2.往復圧縮機の吐出し圧力は、送気側の圧力によって決まる。
解答:正しい
解説:往復圧縮機の吐出し圧力は、送気側の圧力によって決まるので、回転数の2乗等に比例しません。
問3.往復圧縮機において圧縮中のガスがシリンダ内で冷却されると等温圧縮に近づくため、軸動力は減少する。
解答:正しい
解説:シリンダーとピストンを冷却して等温圧縮に近づけるのが効率が良いです。
問4.往復圧縮機の風量調整として、吐出し管に設けた絞り弁で調節した
解答:誤り 吐出し間に設けた絞り弁で → クリアランス方式 or 吸込み弁アンローダ方式 or 速度制御方式 or バイパス方式
解説:絞り弁にる風量寮生は遠心圧縮機で用いられ、往復圧縮機の風量調整はクリアランス弁方式、吸込み弁アンローダ方式、速度制御方式、バイパス方式などで行います。
問5.多段往復圧縮機の各段で中間冷却を行った場合、断熱圧縮の理論軸動力の合計は、1段で断熱圧縮した場合よりも大きい。
解答:誤り 大きい → 小さい
解説:多段往復圧縮機では中間冷却することで、仕事が少なくてすむため、理論動力が小さくなります。
重要:理論動力に関する問題は過去に11回出題されてます。
問6.遠心圧縮機の吸込みガスの体積流量、温度、圧力および吐出しガス圧力が一定のとき、断熱圧縮の理論軸動力は、等温圧縮の場合よりも大きい。
解答:正しい
解説:圧縮機の理論動力は、等温圧縮の方が効率的です。
重要:断熱圧縮・等温圧縮に関する問題は過去に3回出題されてます。
問7.遠心圧縮機では、吐出し側の抵抗が小さくなると風量が増大し、逆流、圧力変動が発生するサージング現象が発生する。
解答:正しい
解説:サージングは不安定な運転状態で、吐出し配管にバイパス配管を設けて余分な吐出し量を貯槽に戻す等で防止できます。
問8.スクリュー圧縮機は、雄、雌の一対のロータをかみあわせ、ねじれた歯溝内の容積をロータが回転する容積形回転圧縮機である。
解答:正しい
解説:ねじ圧縮機とも呼ばれます。
重要:スクリューに関する問題は過去に3回出題されてます。
問9.水撃作用の防止法には、逆止弁にバイパス弁を設けても防止できない。
解答:誤り 設けても防止できない。 → 設ければ、防止できる。
解説:ウォータハンマとも呼ばれ、水圧管内の水流を急に締めたときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生する現象を言います。
重要:水撃作用に関する問題は過去に4回出題されてます。
問10.実揚程は吸込み液面と吐出し液面の間の垂直距離の最大値である。
解答:正しい
解説:全揚程は、実揚程(吸込み液面と吐出し液面の間の垂直距離)と吸込み側・吐出し側の摩擦損失、残留速度ヘッドの和です。
重要:全揚程に関する問題は過去に6回出題されてます。
問11.ポンプの理論動力は、体積流量、全揚程に比例し、液体の密度に反比例する。
解答:誤り に反比例 → にも比例
解説:体積流量をp、液体の密度をρ、重力加速度をg、全揚程をhの記号とすると、理論動力Pthは、pth = qpghとなり、比例します。
重要:全揚程に関する問題は過去に6回出題されてます。
問12.必要NPSHが小さいほど、キャビテーションが生じにくい。
解答:正しい
解説:キャビテーションが発生しない条件とは「利用し得るNPSH」>「必要NPSH」です。
重要:キャビテーションに関する問題は過去に6回出題されてます。
問13.遠心ポンプの据付条件から定まる「利用しうるNPSH」は、キャビテーションを発生させないために、大きくなるようにポンプを設置した。
解答:正しい
解説:ポンプの回転数と水量により定まる「必要NPSH」より大きくしなければいけません。
重要:キャビテーションに関する問題は過去に6回出題されてます。
問14.遠心ポンプの理論動力は、ヘッド、流量に正比例する。
解答:正しい
解説:重力加速度;g、G;質量流量(kg/s)、ヘッド;H(m)とすると内部動力PはP=g・G・Hで表されます。
問15.往復ポンプの脈動による配管の振動を想定して、吐出し側にアキュムレータを取付けた。
解答:正しい
解説:往復動ポンプの場合は、吸い込み工程と吐き出し工程が交互に発生するため、脈動が発生します。アキュムレータは、ゴム膜で隔離された窒素ガスが封入されおり、ゴム膜が窒素によって膨張・収縮を繰り返すことで、脈を打った液体の衝撃を緩衝・吸収するものです。
重要:脈動に関する問題は過去に2回出題されてます。
問16.水撃作用(ウォータハンマ)は、往復ポンプしか発生する可能性がない。
解答:誤り 往復ポンプしか発生する可能性がない。 → 往復ポンプと遠心ポンプで発生する可能性がある。
解説:水撃作用(ウォータハンマ)は、ポンプに接続された配管等で起こります。
重要:水撃作用に関する問題は過去に4回出題されてます。
コメント