ポンプとは圧力の作用によって液体や気体を吸い上げたり送ったりするための機械を言います。ポンプの種類は下記で大まかに下記で分類することができます。
ポンプの性能は次の2つで表すことができます。
①吐出し量(流量)
ポンプから一定時間に吐出す量を言います。
②揚程
ポンプが水をくみあげることのできる高さのことで、吸込み揚程(吸込み水面からポンプ中心までの高さ)+吐出し揚程(ポンプ中心から吐出し水面までの高さ)=実揚程から管内や摩擦損失水頭を加えたもの=全揚程、通常これを「揚程」と言います。
ポンプの種類別特徴
①ターボ型ポンプ
(1) 遠心ポンプ・・・ケーシング(外箱)内で羽根車※1を高速回転して、水に作用する遠心力を利用したポンプを言います。案内羽根のない形式を渦巻ポンプ、案内羽根を設けた形式をディフューザポンプと言います。案内羽根をとりつけ、速度エネルギーを効率よく圧力に変換し、高揚程を得るためです。
※1 羽根をもった回転体を言います。
【渦巻ポンプ・ディフューザポンプの図】
(画像はコトバンクより:渦巻ポンプhttps://kotobank.jp/word/%E6%B8%A6%E5%B7%BB%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%83%97-34649)
(2) 斜流ポンプ・・・羽根車から吐き出される流れが主軸中心を軸とする円すい面内にあるポンプを言います。羽根車から出た液体が軸に対して斜めに流れ出ます。羽根車出口に案内羽根を設けて、回転方向成分を軸方向成分に変える形式と、渦巻ケーシングに導く形式があります。
(3) 軸流ポンプ・・・羽根車から吐き出される流れが主軸と同心の円筒面内にあるポンプを言います。羽根車を通る液体が軸方向に流れ出るポンプである可動翼軸流ポンプがあります。バイパスや可動羽根の採用などの対策を講じない場合には締切り起動・停止できません。
②容積形ポンプ
一定の容積を持つ空間にある流体に対し、往復運動や回転運動などによって、その容積を変化させて流体を搬送するポンプを容積形ポンプを言います。
(1) 往復ポンプ
シリンダ内のピストンまたはプランジャー※2を往復運動させ、弁の開閉により液体を吸い込み圧送するもの。ピストン・プランジャーを動かすために蒸気タービンやモータを使用します。
→吸込み管を液体が流れる時、エネルギー損失が生じます。
※2 プランジャーはピストンとほとんど同じ意味で用いられることが多いです。
(2) 回転ポンプ
歯車ポンプ・・吐出し弁を全開にして起動します。流量調整は回転数やバイパスによる方法があります。
③その他ポンプ
その他のポンプについては10年間分の過去問で出題がありませんので本サイトでの説明は割愛いたします。
キャビテーション・・液体が飽和蒸気圧以下になった時に気化して気泡が発生する現象を言います。空洞化や空洞現象とも言われます。キャビテーションによって以下の3つのことが起こり得ます。
①振動、騒音、脈動の増大する
②ポンプの揚水能力が低下→水を送れなくなる
③ポンプの部品が削られ、エロージョンが起こる
「NPSH」=「Net Positive Suction Head」によるキャビテーション発生条件の確認
有効吸込みヘッド(Net Positive Suction Head、NPSH)とは体配管の任意の断面において、配管中の液体の圧力と、その温度での液体の蒸気圧の差を示す物理量です。つまりこの物理量を用いて、キャビテーションが発生しうるかどうかの条件を確認できます。
高圧ガス保安講習では有効吸込み揚程と表現されています。
その条件とは「利用し得るNPSH」>「必要NPSH」です。
「利用し得るNPSH」とは有効吸込みヘッドのことで平たく言えば、運転条件によって決まる揚程を言います。
「必要NPSH」とはポンプの性能等の設計で決まり、キャビテーションを起こさないために必要な揚程を言います。
実際の運転におけるキャビテーションの防止
・ポンプの回転数を下げる
・吸込み液面を上げる
・吸込み液面の圧力をあげる
・吸込側配管を短くする
・配管内径を太くする
サージング・・圧力・流量・回転数・所要動力などが周期的に変動し、不安定になる現象を言います。
サージングの発生条件は下記の3つです。
・H-Q曲線が山形特性
・気相溜まりがある
・気相溜まりの下流側の弁で流量調整している
サージングの防止方法
・ポンプの吐出し配管にバイパス配管を設けて余分な吐出し量を貯槽に戻す
・流量を変更し、気相溜まりを取り除く
ウォータハンマー(水撃作用)・・水圧管内の水流を急に締めたときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生する現象を言います。ウォータハンマーによって配管やポンプが破壊されることがある田え、その発生を防止する必要があります。
ポンプの運転方法
①直列運転
同じ能力のポンプを直列に並べて運転した場合、揚程はおよそ2倍になります。
②並列運転
同じ能力のポンプを並列に並べて運転した場合、流量がはおよそ2倍になります。
①ターボ形圧縮機
空気にインペラ(羽根車)の遠心力により回転エネルギーを与え、回転エネルギーを圧力に変換する圧縮機を言います。
(1)遠心圧縮機・・体を羽根車からディフューザーに流し遠心方向に徐々に減速させることにより、運動エネルギーに変換する圧縮機を言います。多段化は難しいものの1段あたりの圧力比が大きいことが特徴で、主な構造は下記です
・羽根車(インペラ)
・主軸(シャフト)
(2)軸流圧縮機・・空気が、シャフトに沿って何列もの回転するブレードと固定ブレードを通過することで、軸流を発生させる圧縮機を言います。
②容積形圧縮機
ケーシング内またはシリンダ内に閉じ込めた気体を送り出し圧力を高める圧縮機を言います。主に往復圧縮機と回転式圧縮機があります。
(1)往復圧縮機
ピストンによりガスを高圧で吐出する圧縮機を言い、レシプロ圧縮機とも呼ばれます。圧縮段数を増やすことで多段圧縮機としたり、シリンダへの注油の有無により給油圧縮機と無給油圧縮機があります。主な構成部品は、ピストン(ピストンロッド)、ピストンロッドパッキン、シリンダ、弁等です。
構成部品のイメージ図
(2)回転式圧縮機
回転式圧縮機には主にスクリューとベーンの2種類の回転機があります。
スクリュー圧縮機
スクリューロータ※1を回転させガスを送り出す圧縮機で、ねじ圧縮機とも呼ばれます。
※1 螺旋らせん形状の回転体
ベーン圧縮機
偏心したロータを回転させガスを送り出す圧縮機のことを言います。
圧縮機の容量制御
①遠心圧縮機
(1)バイパスコントロール
吐出し側から出た圧縮空気をバイパスラインから吸込み側に戻す方法で、圧縮機の運転方法を変更することなく制御が可能です。一方で暖かい圧縮空気が吸込み側に戻るため、吸込み側の温度が上昇します。そのため、冷却器により低温に戻す必要があります。
(2)吐出し量の調整
吐出し側に弁を設け、その弁を絞ることで送風量を少なるする方法です。一方で、送風された圧力は上昇します。また、圧縮機の動力はほとんど変わらないため、効率的な運転ができません。
(3)吸込み量の調整
吸込み側に弁を設け、吸込み量自体を減らすことで、吐出し量を少なくする方法です。吐出しされる圧力が低下しますが、圧縮機の動力を減らすことが可能です。
(4)ベーンコントロール
羽根車の入口に、放射状の可動案内羽根(「インレットベーン」または「サクションベーン」といいます)を配置して、この羽根の角度によって風量制御する方法です。他の流量調整に比べてサージングの影響が少ない方法です。
②往復圧縮機
(1)クリアランス弁方式
シリンダヘッドに取付けられたクリアランスポケットを開閉することで筒の隙間容積を変化させる方式です。体積効率を変えることで流量を調整することができます。
(2)吸込み弁アンローダ方式
シリンダの吸込弁板を押さえつけて開放し、いったん吸込んだガスを吸込側へ逆流させて圧縮仕事を行わないようにして流量を調整する方式です。
(3)バイパス方式
バイパスラインを設けて吐き出した圧縮空気を吸込み側に戻す方法です。