ポンプ・圧縮については、乙種化学、乙種機械ともに保安管理技術にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。ポンプ・圧縮機に関しては8項目が頻出で出題されておりますが、幅広く出題されていますが、2回以上出題されていない内容も多くあります。出題回数の多い問題についてはかならず覚えた上で、種類・特徴を覚えることで正解できる分野だと考えます。
項目 | 出題数 |
キャビテーション | 5 |
脈動 | 5 |
サージング | 4 |
NPSH | 3 |
水撃作用 | 3 |
多段往復圧縮機 | 3 |
並列運転 | 2 |
プランジャポンプ | 2 |
その他 | 21 |
ここでは、ガスの性質分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~7は過去に2回以上出題された内容に関する内容です。問8~11は過去に1度出題された問題に関する内容です。問12以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。
問1.液体が飽和蒸気圧以下になった時に気化して気泡が発生する現象を何というか。
解答:キャビテーション
問2.配管の任意の断面において、配管中の液体の圧力と、その温度での液体の蒸気圧の差を示す物理量を何というか。
解答:有効吸込みヘッド(Net Positive Suction Head、NPSH)
問3.塔のトレイ上の液の液深が深い場合あるいは蒸気量が少ない場合、蒸気がトレイから断続的に吹き出す現象を何というか。
解答:脈動
問4.水圧管内の水流を急に締めたときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生する現象を何というか。
解答:ウォータハンマー(水撃作用)
問5.同じ能力のポンプを運転した場合、流量がはおよそ2倍になるのはどのような運転か。
解答:並列運転
問6.ロット状のピストンをシリンダ内の容積変化をさせて液体を吸込み側より吐出し側へ押出す方式のポンプを何というか。
解答:プランジャポンプ
問7.2段以上の往復圧縮機を何というか。
解答:多段往復圧縮機
問8.2つの面を密着させてシールするため、漏れがほとんどなく、液体を扱うポンプやシリンダなどの回転部にのみ使用されるパッキンを何というか。
解答:メカニカルシール
問9.羽根車の入口に、放射状の可動案内羽根(を配置して、この羽根の角度によって風量制御する方法を何というか。
解答:ベーンコントロール
問10.吐出し側から出た圧縮空気をら吸込み側に戻す方法で、圧縮機の運転方法を変更することなく制御が可能な容量制御を何というか。
解答:バイパスコントロール
問11.ポンプ吐出側の配管に連結され、吐出量や吐出圧力の瞬時的変動を窒素ガスが封入されたブラダによって緩和する装置を何というか。
解答:アキュムレータ
問12.吸込み揚程+吐出し揚程のことを何というか。
解答:全揚程
問13.ケーシング内で羽根車を高速回転して、水に作用する遠心力を利用したポンプを何というか。
解答:遠心ポンプ
問14.遠心ポンプの案内羽根のない形式を何というか。
解答:渦巻ポンプ
問15.遠心ポンプの案内羽根を設けた形式を何というか。
解答:ディフューザポンプ
問16.シリンダ内のピストンまたはプランジャーを往復運動させ、弁の開閉により液体を吸い込み圧送するポンプを何というか。
解答:往復ポンプ
問17.圧力・流量・回転数・所要動力などが周期的に変動し、不安定になる現象を何というか。
解答:サージング
問18.ターボ形圧縮機を2種類答えよ。
解答:遠心圧縮機、軸流圧縮機
問19.螺旋らせん形状の回転体を使用した圧縮機を答えよ。
解答:スクリュー圧縮機
問20.体積効率を変えることで流量を調整することが可能な容量制御を何というか。
解答:クリアランス弁方式
問21.シリンダの吸込弁板を押さえつけて開放し、いったん吸込んだガスを吸込側へ逆流させて圧縮仕事を行わないようにして流量を調整するを何というか。
解答:吸込み弁アンローダ方式
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.遠心ポンプの吸入圧力が大気圧より低い場合、キャビテーションが生じることはない。
解答:誤り 大気圧より → 利用し得るNPSHが必要NPSHより
解説:液体の蒸気圧より低い圧力が発生するとキャビテーションが発生するため、液体の蒸気圧が大気圧より大きいと、キャビテーションが発生しやすいですが、大気圧より高いか低いかだけで決まるわけではありません。
重要:キャビテーションに関する問題は過去に5回出題されてます。
問2.遠心ポンプの揚液配管の水撃(ウォータハンマ)を防止するため、流速1m/s以下になるように吐出し配管を選定した。
解答:正しい
解説:一般に一般的には1.5~2.0m/sでウォータハンマーは起こると言われています。
重要:水撃作用に関する問題は過去に3回出題されてます。
問3.遠心ポンプの吐出し弁を締切りで起動し、そのままの状態で長時間運転するとキャビテーションが発生する。
解答:正しい
解説:遠心ポンプの吐出し弁を締め切った状態で運転を続けると、から運転状態になります。
重要:キャビテーションに関する問題は過去に5回出題されてます。
問4.遠心ポンプのキャビテーションを防止するため、吸込み配管系の必要NPSHを大きくする操作を行った。
解答:誤り 必要NPSH → 利用し得るNPSH
解説:キャビテーション防止の有効吸込み揚程は、「利用し得るNPSH」>「必要NPSH」です。
重要:NPSHに関する問題は過去に3回出題されてます。
問5.遠心ポンプの駆動動力は吐出し量、液密度等によって大きくなり、大きくしすぎると駆動電動機が過負荷になる可能性がある。
解答:正しい
解説:他に揚程によっても駆動動力は大きくなります。
問6.往復ポンプの脈動による配管の振動を想定して、吐出し側にアキュムレータを取付けた。
解答:正しい
解説:往復動ポンプの場合は、吸い込み工程と吐き出し工程が交互に発生するため、脈動が発生します。アキュムレータは、ゴム膜で隔離された窒素ガスが封入されおり、ゴム膜が窒素によって膨張・収縮を繰り返すことで、脈を打った液体の衝撃を緩衝・吸収するものです。
問7.往復ポンプは、圧送する液に脈動が発生しやすいため、シリンダ数の増加によって低減することができる。
解答:正しい
解説:脈動とは、文字通り、ポンプによって脈が打つように流量が変動し、振動でポンプや配管が破損することです。
問8.往復ポンプは、往復運動によって圧送するので、キャビテーションの発生についてNPSHは考えなくてよい。
解答:誤り 考えなくてよい。 → 考える必要がある。
解説:往復ポンプでもキャビテーション防止の有効吸込み揚程は、「利用し得るNPSH」>「必要NPSH」です。
重要:NPSHに関する問題は過去に3回出題されてます。
問9.容積形ポンプには往復ポンプと回転ポンプがあり、プランジャポンプは回転ポンプである。
解答:誤り 回転ポンプ → 往復ポンプ
解説:プランジャーはピストンとほとんど同じ意味で用いられることが多いです。
重要:プランジャポンプに関する問題は過去に2回出題されてます。
問10.特性が異なる遠心ポンプを2台直列運転するとき、吐出し弁を絞り流量を下げすぎると片方のポンプの吐出し量がゼロになることがある。
解答:誤り 直列運転 → 並列運転
解説:同じ能力のポンプを直列に並べて運転した場合、揚程はおよそ2倍になります。
重要:並列運転に関する問題は過去に2回出題されてます。
問11.遠心圧縮機では軸固有振動数(危険速度)を超えた連続運転はさける。
解答:誤り を超えた → に近い回転数での
解説:一時危険速度を超えて運転するのは問題ありません。
問12.バイパス弁を開いて風量の一部を吸込み側へ戻すことは、遠心圧縮機のサージングの防止になる。
解答:正しい
解説:サージングの防止方法は他に、流量を変更して、気相溜まりを取り除くこと等があります。
重要:サージングに関する問題は過去に4回出題されてます。
問13.多段往復圧縮機では、2段目のピストンリングが摩耗すると3段目の吐出し圧力が低下する。
解答:正しい
解説:吐出し圧力が低下することで能力低下になりますので、ピストンの交換が必要です。
重要:多段往復圧縮機に関する問題は過去に3回出題されてます。
問14.緩衝器(スナッバタンク)は、遠心圧縮機のガス配管の脈動を低減するために圧縮機の吸込みおよび吐出し側に取り付けるものである。
解答:正しい 遠心圧縮機 → 往復圧縮機
解説:遠心圧縮機では緩衝器は使用しません。
重要:脈動に関する問題は過去に5回出題されてます。
問15.ベーンコントロール方式による風量(容量)調整を往復圧縮機に用いた。
解答:誤り 往復圧縮機 → 遠心圧縮機
解説:遠心圧縮機にある羽根車の入口に、放射状の可動案内羽根を配置して、この羽根の角度によって風量制御する方法です。
問16.往復圧縮機のシリンダ内の異常音の発生は、吸込み弁、吐出し弁の弁板、スプリングの破損が原因である。
解答:誤り シリンダ内 → 弁室内
解説:シリンダないの異常音は、ピストンとシリンダの接触等、ピストンやシリンダに関連する異常から発生します。
問17.酸素に給油式圧縮機を用いた。
解答:誤り 酸素 → 窒素 or 給油式圧縮機 → 無給油式圧縮機
解説:酸素には油の混入は危険なため無給油式圧縮機を用います。