平成元年から令和4年までの事故件数は下記です。
事故の分類
高圧ガスの事故は、様々な原因により発生しています。その件数は上記の通り、一時減少がみられたものの、全体的には増加が見られます。事故を未然に防ぐには、その原因を特定し、今後に生かすことが大変重要です。様々な見方があると思いますが。ここでは、高圧ガス試験に合わせて分類します。
高圧ガス事故原因の分類
・設備の設計製作不良
・設備の維持管理不良
・組織体制の不良
・ヒューマンエラー
・その他
製造事業所の種類による事故の件数
平成12年から平成22年まではわずかではあるものの、一般事業所においての事故件数が最も多い年がほとんどです。しかしながら、平成23年から冷凍事業所での事故が最も多く、近年では、冷凍事業所の事故件数は他の事業所での事故の倍程度になっております。
種類別事故件数
上記からわかりますように、圧倒的に噴出・漏洩による事故が多く起きています。
第一次世界大戦後、工業ガスは大きな発展を遂げてきました。一方で、多くの災害、事故が発生し、それにより運転の技術水準、 保安管理のレベルが向上しています。
1950年代、アンモニア合成工業等のガス製造が行われ、肥料等を工場で製造しました。高圧ガスに関する技術が確立しておらず、まだまだ発展途上だったため、アンモニア製造工場で大き な事故が発生し、多数の死傷者を出しました。 また、1960年代、石炭から石油へとエネルギー転換が起こり、石油化学工業の発展によりコンビナー トが建設されました。アセチレンの活用も活発化し、容器内で分解爆発を起こし、破裂事故が起きました。
1970年代に入ると、 高度経済成長の影響もあり、設備が大型化しましたが、熱交換器や鋼球形タンクの脆性破壊などの新たな事故も発生しました。 石油化学コンビナートでの事故も頻発し、1976年に石油コンビ ナート等災害防止法が施行されるきっかけとなりました。
様々な事故や高圧ガス保安法の改訂により、事故の減少が見られたものの、平成に入ると徐々に増加し、2011年の東日本大震災では、およそ500件程度の災害、事故が起きています。
CEの事故例
事故内容
1992年8月28日に北海道の食品工場にあった液化窒素CE(コールドエバポレーター:貯槽のこと)が破裂しました。幸いなことに死傷者はいませんでしたが、事故範囲が液化窒素CEから半径約400mの範囲に及んだことから大規模な事故でした。
事故原因
事故当時、液化窒素CEに設置されているばね式安全弁の元弁が締められており、また、破裂板の元弁も締められて密閉状態でした。そのため、外部からの侵入熱によって内圧が上昇し、およそ7MPa程度まで上昇した後に破裂したと推定されています。