伝熱

熱の伝わり方には、いくつかの種類に分類されます。
伝導伝熱・・・同一物質内における熱移動を伝導伝熱を言います。
対流伝熱・・・固体と流体間の熱移動を対流と言います。
 自然対流・・・温度の変化によって流体に密度差ができると浮力が発生し、この浮力によって起こる流れを言います。
 強制対流・・・熱源のほかに、人為的、機械的な外部からのはたらきかけによって生じる対流を言います。
放射伝熱・・・熱を持った物質から電磁波として熱が放射される現象。熱放射によって熱が移動することを言います。
熱伝達・・・液体や固体表面間の熱移動を言います。
 温度境界層・・・固体と流体の温度差がある場合、両者の接触領域で温度は大きく変化します。 この層のことを言います。

フーリエの法則・・・物体内に温度差がある場合、熱の流れに垂直な面において、内面の温度をt1、外面の温度をt2が時間的に変化しないとすると、通過する熱の量(q)は、伝熱面積Aと両面の温度差に比例し、壁の厚みlに反比例するという法則です。

q:熱流束[W/m2]、k:熱伝導度[W/(m・K)]、T:温度[K]、l:物質の厚み[m]
熱伝導率kは物質の構造に関係する固有の物性値で、温度に依存します。一般に金属は大きく、次いで非金属固体あるいは液体、気体の順に小さくなります。
また、熱交換器で用いられる金属は銅、炭素鋼、ステンレス鋼の順に熱伝導率は小さくなります。

熱貫流・・・固体壁で隔てられた温度の異なる2つの流体間の熱の移動を言います。
 熱貫流については、熱交換器に関しての問題として出題されます。ある流体の温度をt1、もう1つの流体の温度をt2とすると、熱流量qは、管壁の伝熱面積Aと温度差および総括伝熱係数の積で表されます。


U:総括伝熱係数、A:管壁の伝熱面積、t1-t2:温度差

熱放射率・・・すべての物体は、その表面から常に熱放射線を放出しています。熱放射率とは、物体からの熱放射のしやすさを表します。
 一般に光沢のある金属面は放射率が小さく、表面が酸化されたり汚染されると放射率が大きくなります。また、絶縁物は一般的に放射率が大きくなります。
黒体・・・受けた熱放射線をすべて吸収してしまう仮想的物体を言います。
放射伝熱・・・放射伝熱のエネルギーEは下記の式で表される。
E = σT4
σ:ステファン・ボルツマン定数、T:絶対温度

分離

蒸留・・2つの混合液体を沸点の違いを利用して分離する方法

ガス吸収・・気体原料と液体分離剤を接触させ、気体の溶解性の違いを利用して、溶質ガスを液体へ移動させる操作

気体の液体への溶解度は、その物質の気相分圧が高いほど、温度が低いほど増加する。温度一定下では、その物質の気相分圧が低く、かつ溶解度が小さいとき、溶解度は気相の分圧に比例する。

PSA(Pressure Swing Adsorption)・・・圧力を変化させることで、混合ガスの内、吸着剤へ吸着しやすい物質を吸着させ、その後吸着剤から分離することで、ガスを分離する方法です。吸着塔での圧力操作は短時間で行われるため、大量のガスを処理することができます。
PSAでは、非極性ガスであるH2、N2、Arに用いられる。また、この時、吸着剤として活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブスが用いられます。

TSA(Temperature Swing Adsorption)・・・力を変化させることで、混合ガスの内、吸着剤へ吸着しやすい物質を吸着させ、その後吸着剤から分離することで、ガスを分離する方法です。温度の変化自体が時間がかかるため、一度に短時間で大量のガスを処理できません。そのため、不純物質の少ない精製に用いられます。

多孔質膜・・・たくさんの小さながあり、その穴より大きい物質は透過せず、穴より小さい物質のみを通すことで分離します。

nerima9worker

高圧ガス製造保安責任者試験の研究をしているガス+α 産業ガスの会社に勤務している現役のエンジニアです。 2022年1月から高圧ガスの試験問題・検定問題を研究しています。 平成25年(2013年)の問題から現在までの出題傾向を踏まえオリジナルの類題を掲載しています。

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