円管内の流れについては、乙種機械の学識にて近年、毎年出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。下記表から、7項目が複数回出題されていることがわかりますが、一見すると傾向の弱い分野です。ただし、2016年までとそれ以降では出題傾向が異なっており、2017年以降は下記の7項目からの出題が多いです。まずは、7項目をしっかりと覚えて解答しましょう。
項目 | 出題数 |
層流 | 8 |
レイノルズ | 6 |
乱流 | 4 |
摩擦係数 | 3 |
ベルヌーイ | 3 |
ピトー管 | 2 |
連続の式 | 2 |
その他 | 20 |
ここでは、SI単位分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~7は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問8~10は過去に1度出題されたことのある内容に関する問題です。問11は過去に出題されたことのない問題ですが、重要と思われる内容に関する問題です。
次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。
問1.流体が規則的に揃い流れる状態を何というか。
解答:層流
問2.流体が複雑に混じり合いながら、不規則な渦運動をする流れの状態を何というか。
解答:乱流
問3.流れが規則的なのか不規則的なのかまたは、その中間なのかを測る無次元数を何というか。
解答:レイノルズ数
問4.乱流において、管壁面の粗さやレイノルズ数によって決まる2つの物体が接している面の状態の度合いを表すものを何というか。
解答:摩擦係数
問5.「定常流れにおいて、流体の質量流量は流線上のどの断面でも常に一定である」という法則を何というか。
解答:連続の式
問6.「理想流体の定常流れにおいて、流線上でエネルギーが保存される」ことを示した定理を何というか。
解答:ベルヌーイの定理
問7.ベルヌーイの定理を利用した、一端を流れ方向に向け、他端を圧力計に接続した流量計を何というか。
解答:ピトー管
問8.穴を開けた円形の板を送入し、その前後の圧力差を測定する流量計を何というか。
解答:オリフィス流量計
問9.単位時間あたりに断面を通過する流体の質量のことを何というか。
解答:質量流量
問10. 定常流れで円管内を流れる温度一定の非圧縮性流体の全エネルギーを答えよ。
解答:運動エネルギー、位置エネルギー、圧力エネルギー
問11.層流における最大流量umaxと平均流量uの関係を答えよ。
解答:
問12.F:摩擦による流れのエネルギー損失、f:摩擦係数、u:流体の平均速度[m/s]、L:配管長さ[m]、D:管の内径[m]としてファニングの式を答えよ。
解答:
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.流れが層流の円管内において、定常流れにおける最大流速は平均流速の1/2倍となる。
解答:誤り 1/2倍 → 2倍 または 最大流速と平均流速を入れ替える
解説:
問2.層流では流体の粘性の影響を受け、流れの方向に沿って流れる。
解答:正しい
解説:層流とは、流体が規則的に揃い流れる状態です。
重要:層流に関する問題は過去に8回出題されてます。
問3.乱流では、レイノルズ数Reにより規定されるので摩擦係数は管壁面の粗度に無関係である。
解答:誤り 乱流 → 層流
解説:層流では
重要:摩擦係数に関する問題は過去に3回出題されてます。
問4.レイノルズ数Reは、管の内径、平均流速、流体の密度に正比例し、流体の粘性係数に反比例する。
解答:正しい
解説:粘性係数を流体の密度で割ったものを流体の動粘性係数(動粘度)と言います。
重要:レイノルズ数に関する問題は過去に6回出題されてます。
問5.流れが乱流のときの管内の圧力損失は、ファニングの式で表せ、平均流速の2乗に反比例する。
解答:誤り 反比例 → 比例
解説:ファニングの式は
重要:乱流に関する問題は過去に4回出題されてます。
問6:円管内の流れの状態を表すレイノルズ数Reは、無次元の数であり、管の内径と平均流速に正比例し、動粘度に反比例する。
解答:正しい
解説:レイノルズ数は単位を持たないため、無次元の数です。
問7.流体における質量保存の法則を示す連続の式では、円形断面の管路内を体積流量一定で流体が流れる場合、流速は管の内径の2乗に比例する。
解答:誤り 比例する → 反比例する
解説:体積流量qvはA:管の断面積[m2]、u:平均流速[m/s]とすると、qv=Auで表さされる。ここで管の内径をdとすると管の断面積は
なので、
式を変形して
となる。
重要:連続の式に関する問題は過去に2回出題されてます。
問8.円管内の流れが乱流で平均流速が一定のとき、摩擦損失は管の長さに正比例する。
解答:正しい
解説:摩擦損失はファニングの式
で表されます。F:摩擦による流れのエネルギー損失、f:管摩擦係数、u:流体の平均速度[m/s]、L:配管長さ[m]、D:管の内径[m]
問9.ベルヌーイの定理は流体におけるエネルギー保存則の理想的な場合を表しており圧縮性流体にしか適用できない。
解答:誤り 圧縮性流体にしか適用できない。 → 圧縮性流体・非圧縮性流体に適用できる。
解説:「理想流体の定常流れにおいて、流線上でエネルギーが保存される」ことを示した定理です。
重要:ベルヌーイの定理に関する問題は過去に3回出題されてます。
問10.オリフィス流量計は、オリフィス前後の圧力の差を測定することにより、流量から流速を求めるものである。
解答:誤り 流量から流速 → 流速から流量
解説:オリフィス流量計は、ベルヌーイの定理の応用であるため、非圧縮性流体・圧縮性流体に適用可能です。
問11.ピトー管は、全圧と静圧の差を測定することにより流速を求めるものである。
解答:正しい
解説:動圧ではありません。
重要:ピトー管に関する問題は過去に2回出題されてます。
問12.ベルヌーイの定理では、定常流れの全エネルギーは、位置エネルギーと速度エネルギーの和で示される。
解答:誤り 位置エネルギーと速度エネルギーの和 → 位置エネルギー、速度エネルギー、圧力エネルギーの和
解説:P:圧力 [Pa]、ρ:密度 [kg/m3]、z:高さ [m]、v:流速[m/s]、g:重力加速度[m/s2]
とすると「
重要:ベルヌーイの定理に関する問題は過去に3回出題されてます。