化学平衡 練習問題・演習問題 乙種化学 学識

化学平衡の過去問傾向

 化学平衡については、乙種化学の学識にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。化学平衡に関しての出題は10項目以上あり、一見すると出題内容が多いように思えます。しかしながら、化学平衡の定義はほとんど毎年出題されており、その他に関して、つながりが多くあるため、比較的暗記量が少ないです。そのため、正解したい問題です。

項目出題数
化学平衡9
定圧7
定温5
不可逆反応5
平衡定数4
濃度平衡定数4
濃度平衡定数と圧平衡定数4
圧平衡定数3
触媒2
平衡の移動2
その他3

練習問題

 ここでは、理想気体の分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~6は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問7以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.化学平衡とは何かを記述しなさい。

解答:化学反応の見かけ上、反応が停止したような状態
可逆反応において、最初は正反応が進みます。それにより原系(反応物)が減少し、生成系(生成物)が上昇します。反応が進むにつれて、逆反応の反応速度が大きくなります。つまり生成系(生成物)が減少し、原系(反応物)が上昇し始めます。これがつりあい、ついには反応が停止しているように見える状態です。

問2.「N2 + 3H2 ⇄ 2NH3」について、平衡定数Kを求めよ。

反応に固有の値です。触媒や濃度に関係なく一定になります。また、固体物質は反応には関係ありません。
反応定数Kの数字が小さい=原系に寄っている → 上記の分母が大きい → N2、H2の濃度が大きい。
反応定数Kの数字が大きい=生成系に寄っている → 上記の分子が大きい → NH3の濃度が大きい。

問3.平衡定数が大きいとき平衡はどちらによっているか。

解答:生成系

問4.濃度平衡定数や圧平衡定数は濃度や圧力にはよらないが、何によって変化するか。

解答:反応温度

問5.濃度平衡定数と圧平衡定数は何が等しいとき値が同じになるか。

解答:モル数

問6.反応速度や反応の選択制に関わるが化学平衡に影響しないものは何か。

解答:触媒

問7.ルシャトリエの原理について、平衡を移動させる要因を3つ答えよ。

解答:「温度」「圧力」「濃度」
触媒は間違いです。


問8.ルシャトリエの原理を用いたアンモニアの合成反応を答えよ。

解答:ハーバー・ボッシュ法

問9.不可逆反応とはどのような反応で起こるのか、3つ答えよ。 

解答:燃焼反応、気体が発生する反応、沈殿物が精製する反応
※不可逆反応でも平衡定数は求められる。

問10. 「C + O2 = CO2 + 394.3kJ」は発熱反応か吸熱反応か答えよ。

解答:発熱反応
+394.3kJは熱が発生したことを意味しています。

演習問題

 次の各問いに答えよ。また、正誤問題は正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。

ルシャトリエの原理について問題です。ルシャトリエの原理を考えるときは、「平衡を決める因子の1つが変化すると、化学平衡は変化した因子の効果を和らげる方向に移動する」を念頭に置いて考えてください。

問1 定圧下で反応温度を上げると、平衡は「発熱反応」の方に移動するか。それとも「吸熱反応」の方に移動するか。

解答:吸熱反応
反応温度を上げると吸熱反応の方に平衡は移動します。
重要:定圧下での平衡移動に関する問題は過去に7回出題されてます。

問2 定温下で圧力を高くすると、平衡は「体積が増加する」方向に移動するか。それとも「体積が減少する」方向に移動するか。

解答:「体積が減少する」方向

問3 反応物の濃度を高くすると、平衡は「原系」の方に移動するか。それとも「生成系」の方に移動するか。

解答:生成系

問4 定圧下、発熱反応において温度を高くすると、平衡は「原系」の方向に移動するか。それとも「生成系」に移動するか。

解答:「原系」

問5 反応によりモル数が同じときはモル分率で定義される平衡定数Kcは何と等しいか答えよ。

解答:圧平衡定数Kp

問6.正反応と逆反応の反応速度が釣り合った状態が化学平衡状態であり、このとき正反応および逆反応の反応速度がともに0である。

解答:誤り 反応速度がともに0である。 → 反応速度は0ではない。
解説:見かけ上、反応が進行していない状態ではあるが、反応速度は0ではありません。
重要:化学平衡の定義に関する問題は過去に9回出題されており、9回ともほとんど同じ内容です。

問7.逆反応の反応速度がゼロである場合、化学平衡を考えることはできない。

解答:誤り 化学平衡を考えることはできない。 → 正逆の反応だけが化学平衡式のとおり進行するとして化学平衡を取り扱うことができる。
解説:逆反応の反応速度がゼロである場合を不可逆反応と言い、不可逆反応においても化学平衡の計算はできます。
重要:不可逆反応に関する問題は過去に9回出題されています

問8.反応によりモル数が変わらないとき、圧平衡定数とモル分率で定義される平衡定数は異なる。

解答:誤り 異なる。 → 同じである。
解説:平衡定数は反応に固有の値です。
重要:圧平衡定数と(濃度)平衡定数に関する問題は過去に4回出題されてます。

問9.定圧下で反応温度を上げた場合、吸熱反応に平衡が進む。

解答:正しい
解説:温度を上昇させると、吸熱反応が進み、温度を減少させると、発熱反応が進みます。

問10.定温下で圧力を高くした場合、体積が増加する方向に反応が進む。

解答:誤り 増加 → 減少
解説:一般的に「圧力を上げると、ルシャトリエの原理に従い圧力を下げる方向に平衡が移動する。」と言われています。
重要:定温下での平衡移動に関する問題は過去に4回出題されてます。

問11.発熱反応では温度を上げると反応速度が増大するため、生成物側へ反応が進行する。

解答:誤り 生成物側 → 原系側
解説:一般に、温度を上昇させた場合、吸熱反応の方向に反応が進みます。発熱反応である場合、正反応が進む(生成物が増える)と発熱反応が進みます。逆反応が進めば、吸熱反応が進みます。

問12.触媒は化学平衡に影響を与えるため、反応速度や反応の選択性に関わる。

解答:誤り 影響を与えるため、 → 影響を与えないが、
解説:触媒は反応促進剤と言われ、反応が早く進みますが、平衡に影響を与えるものではありません。
重要:触媒での平衡移動に関する問題は過去に2回出題されてます。

問13.平衡定数の温度依存性はアレニウスの式で表されない。

解答:正しい
解説:化学反応の平衡定数は、ギブスのエネルギーで表されます。

問14.平衡定数が大きいときは平衡が原系に寄っている。

解答:誤り 原系 → 生成系
解説:の反応において、平衡定数は、で表されるため、平衡定数が大きいときは生成系に平衡が寄っている。
重要:平衡定数に関する問題は過去に4回出題されてます。

問15.圧平衡定数Kpは、反応圧力によって変化する。

解答:誤り 変化する。 → 変化せず一定である。
解説:反応温度により変わる値です。

nerima9worker

高圧ガス製造保安責任者試験の研究をしているガス+α 産業ガスの会社に勤務している現役のエンジニアです。 2022年1月から高圧ガスの試験問題・検定問題を研究しています。 平成25年(2013年)の問題から現在までの出題傾向を踏まえオリジナルの類題を掲載しています。

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