変形と破壊については、乙種機械の学識にて近年、毎年出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。変形と破壊については、下記10項目が複数回出題されています。しかしながら、次に出題される応力の分野と関係のある分野で用語の意味や特徴を問われる内容も多く出題されます。しっかりと覚えて解答しましょう。
項目 | 出題数 |
疲労限度 | 9 |
引張試験 | 8 |
クリープ | 7 |
低温脆性 | 5 |
ポアソン比 | 4 |
ヤング率 | 4 |
許容応力 | 4 |
安全率 | 3 |
せん断 | 3 |
基準強さ | 2 |
その他 | 10 |
ここでは、SI単位分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~9は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問10~12は過去に1度出題されたことのある内容に関する問題です。問13は過去に出題されたことのない問題ですが、重要と思われる内容に関する問題です。
次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。
問1.高温下で、物体に一定の荷重(応力)を加えると、時間とともに物体が変形していく現象のことを何というか。
解答:クリープ
問2.ある温度以下では塑性変形することができなくなって、極めて脆くなることを何というか。
解答:低温脆性
問3.金属材料が繰り返し荷重を受けると静的な破壊荷重よりはるかに小さい荷重でも破壊することを何というか。
解答:疲労
問4.引張試験によって得られる応力‐ひずみ線図において、試験片が破断するときの応力を何というか。
解答:引張強さ
問5.フックの法則が成立する弾性範囲における同軸方向のひずみと応力の比例定数を何というか。
解答:ヤング率
問6.縦ひずみ、横ひずみの比を何というか。
解答:ポアソン比
問7.使用上安全であると考えられる最大応力を何というか。
解答:許容応力
問8.材料の基準強さと許容応力の比を何というか。
解答:安全率
問9.物体内部のある面と平行方向に、その面にすべらせるように作用する応力を何というか。
解答:せん断応力
問10.過大応力が作用して塑性変形を起こし、引き伸ばされて最終的に破壊することを何というか。
解答:延性破壊
問11.応力が作用して塑性変形を伴わないで破壊することを何というか。
解答:脆性破壊
問12.穴や切り欠きなどの断面形状の変化があった場合、発生した応力が局所的に集中することを何というか。
解答:応力集中
問13.物体に荷重を作用させた際、材料の内部に働く単位面積あたりの力のことを何というか。
解答:応力
問14.変位長さあたりに物体内の物質点がどれだけ変位するかを何というか。
解答:ひずみ
問15.垂直方向への応力によって物体が単位長さ辺りどれくらい変位するかを何というか。
解答:垂直ひずみ
問16.物体の応力をかけた際、その物体がどれくらい長くなるかを何というか。
解答:伸び
問17.ある材料に荷重をかけ、徐々にその荷重を増加した際、ひずみと力の関係をグラフにしたものを何というか。
解答:応力-ひずみ線図
問18.せん断応力τをせん断ひずみγで割った弾性定数を何というか。
解答:横弾性係数
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.丸棒を引張ったとき、引張方向に垂直な方向への伸びを変形前の長さで割って得られる変形の割合を垂直ひずみと言い、単位はもたない。
解答:正しい
解説:丸棒の直径方向へのひずみは横ひずみと言います。
問2.丸棒に引張荷重が作用させたとき、変形前の直径に対する縮みの割合を横ひずみという。
解答:正しい
解説:せん断ひずみではありません。
問3.ポアソン比は、縦ひずみに対する横ひずみの比の絶対値であり単位はもたない。
解答:正しい
解説:ポアソン比は弾性係数です。
重要:ポアソン比に関する問題は過去に4回出題されてます。
問4.引張試験を行って得られる応力-ひずみ線図において、縦弾性係数は、垂直応力を縦ひずみで割ったもので、無次元である。
解答:誤り 無次元である → 無次元ではない
解説:縦弾性係数は無次元ではないが縦ひずみは無次元である。
重要:引張応力に関する問題は過去に8回出題されてます。
問5.縦弾性係数の単位は、応力の単位と同じでMPaである。
解答:誤り と同じでMPaである。 → より数値が大きくなり、GPa(ギガパスカル)で表すこともある。
解説:横弾性係数も単位に関しては、同じ考え方です。
問6.ポアソン比は縦弾性係数(ヤング率)と横弾性係数でも表せる。
解答:誤り でも表せる。 → では表せない。
解説:ポアソン比は縦ひずみと横ひずみで表されます。
重要:ヤング率に関する問題は過去に4回出題されてます。
問7.切欠きのような形状に応力が生じるとそこが局所的に大きくなる現象を応力集中という。
解答:正しい
解説:応力集中が生じた箇所は破壊の起点となることが多いです
問8.材料の疲労特性を示すS-N曲線について、応力振幅と破壊するまでの繰返し数によって表され、ある応力振幅まで行くとS-N曲線に水平部が現れる。
解答:正しい
解説:このS-N曲線に現れる水平部における応力を疲労限界と言い、材料によっては現れないこともあります。
重要:疲労限界に関する問題は過去に9回出題されてます。
問9.クリープ現象を図に表すと三段階に分けられるが、その第一期と第二期は第三期に比べてひずみの増加速度が大きい。
解答:誤り その第一期と第二期は第三期に → その第一期と第三期は第二期に
解説:クリープ現象とは、高温下で、物体に一定の荷重(応力)を加えると、時間とともに物体が変形していく現象のことをいいます。
重要:クリープに関する問題は過去に7回出題されてます。
問10.一般に鉄鋼材料では、温度の低下とともに伸び、絞り、衝撃値が減少し、ある温度以下では塑性変形することができなくなって、極めて脆くなる現象を低温脆性という。
解答:正しい
解説:ステンレス鋼、アルミニウム合金は低温脆性を示しません。
重要:低温脆性に関する問題は過去に5回出題されてます。
問11.一般に低温脆性を示す温度は、シャルピー衝撃試験の結果から判定されるが、炭素鋼は低温脆性を示さない。
解答:誤り 示さない。 → 示す。
解説:シャルピー衝撃試験では低温脆性を示す温度だけではなく、靭性を評価することも可能です。
問12.安全率は、1より小さい値で荷重条件や材料等の様々な因子を考慮して決定される値である。
解答:誤り 1より小さい値 → 1より大きい値
解説:使用環境等によっても変わります。
重要:安全率に関する問題は過去に3回出題されてます。
問13.使用上安全であると考えられる最大応力を使用応力という。
解答:誤り 使用応力 → 許容応力
解説:実際に発生する応力を使用応力と言います。
重要:許容応力に関する問題は過去に9回出題されてます。