炭素鋼・・・炭素鋼は、鉄と炭素の合金で、様々な所で用いられています。一方で、鉄と炭素以外にもケイ素・マンガン・リン・硫黄・銅等も含んでおり、その含有量によっては、脆くて壊れやすくなります。そこで炭素の量を変化させることでその強度がと強くなったり、弱くなったりします。引張強さ、降伏点※1はC量の増加(パーライトの増加)とともに大きくなり、共析組織※2で最大となります。伸び、絞り材料の靭性(ねばさ)はC量が増すにしたがって小さくなります。
※1 降伏点とは、応力が材料の弾性限界を超えて変形がはじまる点
※2 共析組織とは、二つ以上の固相がある組織
オーステナイトステンレス鋼・・・オーステナイトステンレス鋼とは、常温でオーステナイト※3(鉄の一種ととらえてください。)を主要な組織とするステンレス鋼です。
このオーステナイトステンレス鋼にクロム(Cr)を18%、ニッケル(Ni)を8%混ぜたSUS304は乾燥した塩素ガスでの高温ガス腐食に対する耐用温度は炭素鋼より高い。耐食性、加工性、溶接性のいずれもFe-Cr系ステンレス鋼より優れています。ただし、使用環境によっては粒界腐食、孔食、応力腐食割れなどの局部腐食を生じます。炭素量が少ないほど、溶接熱影響部に生じる粒界腐食が防止できます。
※3 オーステナイトとはγ鉄に他の鉄を溶かしたものをいい、γ鉄とは、鉄を温度を上げて面心立方格子であり、非磁性体に変わったものをいう。
フェライト系ステンレス鋼・・・フェライト※4系ステンレス鋼(SUS430)は塩化物による応力腐食割れを生じにくいです。
※4 酸化鉄を主成分とするセラミックスの総称
Cr-Mo鋼・・・CrはCrの酸化物皮膜を生成し、皮膜は緻密で保護性があるので、クロムの増加とともに耐酸化性を示します。
クリープ現象・・・材料がある温度以上で、一定応力のひずみが時間とともに大きくなり、最終的に破断する現象。
低温材料に求められることは、もちろん低温になっても使用できることです。しかしながら、金属は種類によって低温になると脆性※5を示します。
※5 脆性とは、低温になると脆(もろ)く破断するようになる現象
低温脆性に強い金属は、Alとその合金、オーステナイト系ステンレス鋼で、原子配列上対象度が高い面心立方格子では、冷却の際に起こる原子の不等收縮において、粘性変形が容易であるため、脆性を示しません。
シャルピー衝撃試験:金属材料の靭性(低温脆性)を評価する試験
工場で使用する金属等の材料は時間の経過ととも劣化します。しかしながら、その劣化は単に時間経過のみで劣化するわけではなく、使用方法や使用環境によって起こります。腐食とは、固体材料が環境によって純化学的反応または電気化学的反応によって変質破壊される現象をいいます。
1) 均一腐食
腐食環境にさらされている全表面がほぼ均一に腐食する場合に言います。
2) 異種金属接触腐食
、電解液のような腐食環境下で異なる種類の金属が接触し電子電導したときに、片方の金属の腐食が促進される現象を言います。
3) 材料の不均一による腐食
同じ金属であっても、局所的に材質や表面状態が異なる場合、異種金属接触腐食の場合と同様にマクロ腐食電池が形成され、⊖極となる部分が選択的に腐食します。
4) 通気差腐食
酸素濃度の差によって起こる腐食で、通気差電池を形成した環境で、起きる腐食です。
5) 孔食
表面が局部的に点、または孔状に深く侵食される現象です。炭素鋼の場合、通気差腐食であることが多く、ステンレス鋼の場合、塩化物イオンによって局所的に不動態皮膜が破壊され、その部分がアノード反応となり、起こります。
6) すき間腐食
塩化物環境にあるステンレス鋼やアルミニウムおよびアルミニウム合金等の不動態皮
膜を形成する金属が、接触していたり、異物が付着していたりすると、接触面や付着物との間に形成される狭いすき間部に侵食を受けます。
7) 粒界腐食
金属材料の結晶粒界※5だけが選択的に腐食する現象を言います。局部腐食の一種で、結晶粒界に沿って浸食が進み、結晶粒が脱落することもあります。
8) 脱成分腐食
金中の特定の成分が選択的に溶出する腐食形態を言います。選択腐食が生じた合金は、表面が変色するなどの外観変化は生ずるものの、あたかも浸食を受けていないように見えることが多いです。しかし、引張強さや伸びは著しく低下しているため、外力により破断しやすくなります。
9) 応力腐食割れ
引張応力を受けている金属や合金が、その応力が引張強さ以下であっても、時間の経過によって起こる現象を言います。
※5 結晶粒界 一般の金属は、多くの結晶が集まってできており、結晶粒子と結晶粒子が接する境界にあたる面を言います。