流体の漏洩 練習問題・演習問題 乙種化学・乙種機械 保安管理

流体の漏えいの過去問傾向

 流体の漏えいについては、乙種化学、乙種機械ともに保安管理技術にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。流体の漏えいに関しては12項目出題されており、幅広く出題されています。しかしながら、出題される内容の多くがガスケット、パッキンに関する内容が多いため、ガスケット、パッキンのそれぞれの特徴をしっかり覚えましょう。出題回数の多い問題についてはしっかりと覚えれば、正解しやすい分野だと考えます。

項目出題数
ラビリンスシール5
オイルフィルムシール4
ホットボルティング4
ガスケットとパッキン3
メカニカルシール3
ドライガスシール3
トルクレンチ3
ボルトテンショナ3
テフロン3
ガスケットの種類2
六角頭付きボルト2
振れ止め2
その他11

練習問題

 ここでは、流体の漏えいにおける基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~13は過去に2回以上出題された内容に関する内容です。問14~17は過去に1度出題された問題に関する内容です。問18以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.固定面に挿入し漏れを防ぐためのシール材を何というか。

解答:ガスケット

問2.往復運動や回転運動のしゅう動部等、運動面に挿入し漏れを防ぐためのシール材を何というか。

解答:パッキン

問3.ガスケットの種類を3つ答えよ。

解答:非金属ガスケット、金属ガスケット、組合せガスケット

問4.2つの面を密着させてシールするため、漏れがほとんどなく、液体を扱うポンプやシリンダなどの回転部にのみ使用されるパッキンを何というか。

解答:メカニカルシール

問5.潤滑油を使用せず、非接触のため、若干の漏えいを発生する軸封シールを何というか。

解答:ドライガスシール

問6.軸受や歯車などの潤滑油に異物が浸入しないように、機械の回転軸とハウジングの間で封止(シール)するための部品を言い、数枚挿入するシールを何というか。

解答:ラビリンスシール

問7.軸の周りにガス側とわずかなすき間を有するリングがはめ込まれ、2つのリングの間にガス圧よりわずかに高い圧力の油を供給し、油膜を形成させ、ガスがすき間から大気中に漏れるのを防ぐシールを何というか。

解答:オイルフィルムシール

問8.高温配管に使用するときに、高温状態で増し締めを行うことを何というか。

解答:ホットボルディング

問9.トルクレンチ等を用いて締付けの力を管理して締め付ける方法を何というか。

解答:トルク法

問10.高温高圧のフランジを締め付ける場合は、一般に用いるのは何か。

解答:六角付きボルト

問11.ボルトテンションと呼ばれる油圧の力を使用して締め付ける方法を何というか。

解答:テンショナ法

問12.フッ素原子を含むプラスチック原料の総称を何というか。

解答:テフロン

問13.配管フランジの漏えい防止として、配管の振動に対して行う処置を何というか。

解答:振れ止め

問14.孔径の4乗、圧力差に比例し、孔の長さに反比例して漏れ、針であけたような小さな穴のことを何というか。

解答:ピンホール

問15.断面が角形又は丸形で、スタッフィングボックスに詰め込んで用いるパッキンの総称を何というか。

解答:グランドパッキン

問16.ピストンロッドパッキンにおいて、ロッドパッキンを三つ割にして外周をスプリングで締め付けるタイプを何というか。

解答:セグメントタイプ

問17.加圧下での増し締めで起こりうることは何か。

解答:片締め

問18.破断口からの漏えいを式で表しなさい。

解答:q=CA2gh C:流出係数 A:破断口の断面積 g:重力加速度 h:破断口にかかる内外圧力差

演習問題

次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。

問1.一般に静止接合面に挿入するものをパッキン、往復運動や回転運動のしゅう動部、摺動面に使用するものをガスケットという。

解答:誤り パッキン→ガスケット、ガスケット→パッキン
解説:固定面への挿入はガスケット、運動面への挿入はパッキンと呼びます。
重要:ガスケットとパッキンに関する問題は過去に3回出題されてます。

問2.メカニカルシールは、漏洩をすることはほとんどない。

解答:正しい
解説:メカニカルシールは若干漏えいがあるものの、可燃性ガスや毒性ガスに用いられる。
重要:メカニカルシールに関する問題は過去に3回出題されてます。

問3.ラビリンスシールを使用した場合、圧縮機中のガスが大気中に漏れる。

解答:正しい
解説:ラビリンスシールは圧縮機からガスが大気中に漏れるため、不活性ガス等の安全なガスで用いられる。
重要:ラビリンスシールに関する問題は過去に5回出題されてます。

問4.ラビリンスシールは圧縮性のないガスに使用される。

解答:誤り 圧縮性のない→圧縮性のある or 使用される。→使用されない。
解説:圧縮性のある空気、窒素等の安全なガスに用いられる。
重要:ラビリンスシールに関する問題は過去に5回出題されてます。

問5.ドライガスシールを使用する場合、ピュアなガスを供給する必要がある。

解答:正しい
解説:非接触式のため、若干の漏洩を生じます。
重要:ドライガスシールに関する問題は過去に3回出題されてます。

問6.オイルフィルムシールは、油膜を用いて、ガスが漏れるのを防ぐ構造であり、水素ガスへの使用に適している。

解答:正しい
解説:オイルフィルムは水素等の可燃性ガスにも用いられる。
重要:オイルフィルムシールに関する問題は過去に5回出題されてます。

問7.グランドパッキンは、一般的にテフロン材は使用できず、ランタンリングと組み合わせることがある。

解答:誤り 使用できない→使用できる
解説:グランドパッキンの材質にはカーボン、ガラス、ふっ素樹脂、合成繊維等が用いられる。ランタンリングは、注水をすることで空気の侵入や発熱を防止する。
重要:テフロンに関する問題は過去に3回出題されてます。

問8.遠心ポンプの軸封部に用いるグランドパッキンは、若干の漏洩が生じる

解答:正しい
解説:漏れが生じた際にパッキンを強く締め直すと、一時的に止めることが可能であるが、シャフトスリーブを傷つける恐れがある。

問9.無給油式往復圧縮機ではピストンロッドパッキンのテフロンパッキンは、冷却は必要ない。

解答:正しい
解説:給油式往復圧縮機では冷却の必要はないが、無給油式往復圧縮機では、テフロンパッキンを冷却することで摩耗を減らすことが可能です。
重要:テフロンに関する問題は過去に3回出題されてます。

問10.ピンホールなどから少量漏洩する場合は、漏えい量は流体を乱流として計算する。

解答:誤り 乱流→粘性流(層流)
解説:ピンホールからの漏洩量は孔径の4乗、差圧に比例し、粘度と孔の長さに反比例する。

問11.破断口からの漏洩量は破断口の断面積に比例する。

解答:正しい
解説:破断口の漏洩量は破断口の断面積、流出係数に比例する。

問12.高温、高圧のガス配管のフランジでは、一般にマシンボルトを使用する。

解答:誤り マシンボルト→スタッドボルト
解説:マシンボルトは必要な部分のみねじ山があるボルトを言います。高温、高圧のフランジでは、両側に雄ねじが切られたスタッドボルトを用います。

問13.高温、高圧のガス配管のフランジでは、炭素鋼の六角頭付きボルトを用いる。

解答:誤り 高温、高圧 → 常温、常圧 炭素鋼の六角頭付きボルト → クロムモリブデン鋼のスタッドボルト
解説:六角頭付きボルトをマシンボルトと言います。
重要:六角頭付きボルトに関する問題は過去に2回出題されてます。

問14.加圧下での増し締めは、締付け力が増すため、運転中に増し締めを行う。

解答:誤り 締付け力が増すため、運転中に増し締めを行う。→片締めを起こす原因となるため、運転中に増し締めは行わない。
解説:加圧下で増し締めを行うと片締めの原因となるため、大気圧下で行う。

問15.高温状態で使用するフランジを昇温の過程で増し締めを行った。

解答:正しい
解説:高温状態で運転する場合、高温状態で増し締めすることをホットボルティングと言います。
重要:ホットボルディングに関する問題は過去に4回出題されてます。

問16.回転角法によるボルトの締付けは、ボルトテンショナで測定しながら締め付ける方法である。

解答:誤り ボルトテンショナで測定しながら→回転角を確認しながら
解説:回転角法はボルトの頭部とナットの相対的な締付け回転角度を指標として、着座してからねじを回す角度で軸力を管理する方法です。

問17.伸び測定法によるボルトの締付けは、ボルトテンショナで測定しながら締め付ける方法である。

解答:誤り ボルトテンショナで→ボルトの伸びを超音波軸力計でor伸びゲージで
解説:超音波軸力計(伸びゲージ)を利用してボルトの伸びを測定しながら締め付ける方法です。

問18.テンション法によるボルトの締付けは、ボルトテンショナを使用してボルトの締付けをする方法であるが、多数のボルトを均一に締め付けることができる。

解答:正しい
解説:テンション法はボルトテンショナを用いることで均一な力で締め付けることが可能です。
重要:ボルトテンショナに関する問題は過去に3回出題されてます。

nerima9worker

高圧ガス製造保安責任者試験の研究をしているガス+α 産業ガスの会社に勤務している現役のエンジニアです。 2022年1月から高圧ガスの試験問題・検定問題を研究しています。 平成25年(2013年)の問題から現在までの出題傾向を踏まえオリジナルの類題を掲載しています。

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