流体の漏洩 練習問題・演習問題 乙種機械 学識

流体の漏洩の過去問傾向

 流体の漏えいについては、乙種機械の学識にて近年、毎年出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。流体の漏えいについては、2014年から毎年出題されていますが、傾向が強い分野です。下記表では、6項目が複数回出題されており、出題範囲の広さに対して、同じ内容が出題されています。まずは、6項目をしっかりと覚えて解答できるようにした方が良いかと思います。

項目出題数
ピンホール11
フランジ9
メカニカルシール9
オイルフィルムシール3
ラビリンスシール2
ドライガスシール2
その他4

練習問題

 ここでは、流体の漏えい分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~6は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問7~9は過去に1度出題されたことのある内容に関する問題です。問10は過去に出題されたことのない問題ですが、重要と思われる内容に関する問題です。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.孔径の4乗、圧力差に比例し、孔の長さに反比例して漏れ、針であけたような小さな穴のことを何というか。

解答:ピンホール

問2.密封すべき液で潤滑作用をしながら摺動面に液膜を形成し密封するシールを何というか。

解答:メカニカルシール

問3.軸の周りにガス側とわずかなすき間を有するリングがはめ込まれ、2つのリングの間にガス圧よりわずかに高い圧力の油を供給し、油膜を形成させ、ガスがすき間から大気中に漏れるのを防ぐ構造のシールを何というか。

解答:オイルフィルムシール

問4.軸受や歯車などの潤滑油に異物が浸入しないように、機械の回転軸とハウジングの間で封止(シール)するための部品を言い、数枚挿入する形式のシールを何というか。

解答:ラビリンスシール

問5.潤滑油を使用しない軸封シールを何というか。

解答:ドライガスシール

問6.部材と部材を接合するためのツバのことを言い、円盤のものでボルトとナットで締め付けるものを何というか。

解答:フランジ

問7.固定面に挿入し漏れを防ぐためのシール材を何というか。

解答:ガスケット

問8.往復運動や回転運動のしゅう動部等、運動面に挿入し漏れを防ぐためのシール材を何というか。

解答:パッキン

問9.油圧の力でボルトを引っ張り締め付ける軸力管理の油圧工具を何というか。

解答:ボルトテンショナ

問10.破断口からの漏えいを式で表しなさい。

解答: C:流出係数 A:破断口の断面積 g:重力加速度 h:破断口にかかる内外圧力差

演習問題

次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。

問1.一般に静止接合面に挿入するものをパッキン、往復運動や回転運動のしゅう動部、摺動面に使用するものをガスケットという。

解答:誤り パッキン→ガスケット、ガスケット→パッキン
解説:固定面への挿入はガスケット、運動面への挿入はパッキンと呼びます。

問2.メカニカルシールの材質として片方にセラミック、他方に超硬合金、ステンレスなどが採用されているのはしゅう動面は摩耗するためである。

解答:誤り セラミック → カーボン
解説:固定環と回転環が振動により漏れないようにスプリングで押し付けられています。
重要:メカニカルシールに関する問題は過去に9回出題されてます。

問3.メカニカルシールでエコライジングパイプを設けるのは、発熱事故を防ぐためにガスす抜きを行うからである。

解答:正しい
解説:乾燥状態でしゅう動すると発火する恐れがあります。
重要:メカニカルシールに関する問題は過去に9回出題されてます。

問4.メカニカルシールの冷却・潤滑にはフラッシング、クエンチング、クーリングがある。

解答:正しい
解説:フラッシングには熱を除去する冷却効果、しゅう動面の異物や不純物の停滞を防ぐ働きがある。
重要:メカニカルシールに関する問題は過去に9回出題されてます。

問5.メカニカルシールは、漏洩をすることはほとんどない。

解答:正しい
解説:メカニカルシールは若干漏えいがあるものの、可燃性ガスや毒性ガスに用いられる。
重要:メカニカルシールに関する問題は過去に9回出題されてます。

問6.ラビリンスシールを使用した場合、圧縮機中のガスが大気中に漏れる。

解答:正しい
解説:ラビリンスシールは圧縮機からガスが大気中に漏れるため、不活性ガス等の安全なガスで用いられる。
重要:ラビリンスシールに関する問題は過去に3回出題されてます。

問7.ラビリンスシールは圧縮性のないガスに使用される。

解答:誤り 圧縮性のない → 圧縮性のある or 使用される。 → 使用されない。
解説:圧縮性のある空気、窒素等の安全なガスに用いられます。
重要:ラビリンスシールに関する問題は過去に3回出題されてます。

問8.ドライガスシールを使用する場合、ピュアなガスを供給する必要がある。

解答:正しい
解説:非接触式のため、若干の漏洩を生じます。
重要:ドライガスシールに関する問題は過去に2回出題されてます。

問9.オイルフィルムシールは、油膜を用いて、ガスが漏れるのを防ぐ構造であり、水素ガスへの使用に適している。

解答:正しい
解説:オイルフィルムは水素等の可燃性ガスにも用いられる。
重要:オイルフィルムシールに関する問題は過去に3回出題されてます。

問10.グランドパッキンは、一般的にテフロン材は使用できず、ランタンリングと組み合わせることがある。

解答:誤り 使用できない→使用できる
解説:グランドパッキンの材質にはカーボン、ガラス、ふっ素樹脂、合成繊維等が用いられる。ランタンリングは、注水をすることで空気の侵入や発熱を防止する。

問11.遠心ポンプの軸封部に用いるグランドパッキンは、若干の漏洩が生じる

解答:正しい
解説:漏れが生じた際にパッキンを強く締め直すと、一時的に止めることが可能であるが、シャフトスリーブを傷つける恐れがある。

問12.無給油式往復圧縮機ではピストンロッドパッキンのテフロンパッキンは、冷却は必要ない。

解答:正しい
解説:給油式往復圧縮機では冷却の必要はないが、無給油式往復圧縮機では、テフロンパッキンを冷却することで摩耗を減らすことが可能です。

問13.ピンホールなどから少量漏洩する場合は、漏えい量は流体を乱流として計算する。

解答:誤り 乱流→粘性流(層流)
解説:ピンホールからの漏洩量は孔径の4乗、差圧に比例し、粘度と孔の長さに反比例する。
重要:ピンホールに関する問題は過去に11回出題されてます。

問14.ピンホールからの漏えいは内径の4乗、圧力差に比例し、孔の長さに反比例します。

解答:正しい
解説:粘度にも反比例します。
重要:ピンホールに関する問題は過去に11回出題されてます。

問15.相当大きな破断口から漏えいする場合、重力加速度、破断口にかかる内外圧力差の2乗に比例する。

解答:誤り 2乗に → 平方根に
解説:内外圧力差(液頭)にも比例します。

問16.破断口からの漏洩量は破断口の断面積に比例する。

解答:正しい
解説:破断口の漏洩量は破断口の断面積、流出係数に比例します。

問17.高温、高圧のガス配管のフランジでは、一般にマシンボルトを使用する。

解答:誤り マシンボルト→スタッドボルト
解説:マシンボルトは必要な部分のみねじ山があるボルトを言います。高温、高圧のフランジでは、両側に雄ねじが切られたスタッドボルトを用います。
重要:フランジに関する問題は過去に9回出題されてます。

問18.高温、高圧のガス配管のフランジでは、炭素鋼の六角頭付きボルトを用いる。

解答:誤り 高温、高圧 → 常温、常圧 炭素鋼の六角頭付きボルト → クロムモリブデン鋼のスタッドボルト
解説:六角頭付きボルトをマシンボルトと言います。
重要:フランジに関する問題は過去に9回出題されてます。

問19.加圧下での増し締めは、締付け力が増すため、運転中に増し締めを行う。

解答:誤り 締付け力が増すため、運転中に増し締めを行う。→片締めを起こす原因となるため、運転中に増し締めは行わない。
解説:加圧下で増し締めを行うと片締めの原因となるため、大気圧下で行う。

問20.高温状態で使用するフランジを昇温の過程で増し締めを行った。

解答:正しい
解説:高温状態で運転する場合、高温状態で増し締めすることをホットボルティングと言います。
重要:フランジに関する問題は過去に9回出題されてます。

問21.自緊式フランジは、内圧の上昇に伴い自己締付けを行う構造で超高圧装置のフランジガスケットには使用される。

解答:正しい
解説:一般的なフランジの締付けは、内圧がかかったときのボルトの伸び量はガスケットの復元量(回復量)より大きいと漏れる可能性があります。
重要:フランジに関する問題は過去に9回出題されてます。

問22.回転角法によるボルトの締付けは、ボルトテンショナで測定しながら締め付ける方法である。

解答:誤り ボルトテンショナで測定しながら → 回転角を確認しながら
解説:回転角法はボルトの頭部とナットの相対的な締付け回転角度を指標として、着座してからねじを回す角度で軸力を管理する方法です。

問23.伸び測定法によるボルトの締付けは、ボルトテンショナで測定しながら締め付ける方法である。

解答:誤り ボルトテンショナで → ボルトの伸びを超音波軸力計で or 伸びゲージで
解説:超音波軸力計(伸びゲージ)を利用してボルトの伸びを測定しながら締め付ける方法です。

問24.テンション法によるボルトの締付けは、ボルトテンショナを使用してボルトの締付けをする方法であるが、多数のボルトを均一に締め付けることができる。

解答:正しい
解説:テンション法はボルトテンショナを用いることで均一な力で締め付けることが可能です。

nerima9worker

高圧ガス製造保安責任者試験の研究をしているガス+α 産業ガスの会社に勤務している現役のエンジニアです。 2022年1月から高圧ガスの試験問題・検定問題を研究しています。 平成25年(2013年)の問題から現在までの出題傾向を踏まえオリジナルの類題を掲載しています。

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