ガスケット・・固定面に挿入し漏れを防ぐためのシール材をいいます。
パッキン・・往復運動や回転運動のしゅう動部等、運動面に挿入し漏れを防ぐためのシール材をいいます。
1-1.ガスケットの種類と特徴
ジョイントシートガスケット
繊維材料・充填材・ゴムからなる柔軟性に富んだシート状のガスケット材料で非金属です。
うず巻型ガスケット
V字形をした金属製のフープとフィラーと呼ばれるクッション材からなるセミメタルガスケットです。高温高圧まで使用でき、しかもシール性に優れた高性能なガスケットです。
メタルジャケットガスケット
メタルガスケットは、軟質ガスケットが使えない高温・高圧条件や高度のシール要求がある場合に用いられます。
シールテープ
配管のつなぎ目に使うテフロン製のシールのことです。
1-2.パッキンの種類と特徴
グランドパッキン
ポンプ(回転運動部分)やバルブ・プランジャーポンプ(直線運動部分)等に巻き付けて使用されるパッキンです。焼き付きを防ぐため、ある程度の漏れが起こり、比較的寿命が短く、簡易な構造です。
メカニカルシール
液体を扱うポンプやシリンダなどの回転部にのみ使用されるパッキンです。漏れがほとんどなく、構造が複雑なものが多いです。
オイルシール
潤滑油、水、薬液、ガス等の液体・気体が機械の「すきま」から漏れるのを防ぐパッキンです。
2-1.ピンホールからの漏洩
ピンホールとは、針であけたような小さな穴のことをいいます。ピンホールからの漏えいは孔径の4乗、圧力差に比例し、孔の長さに反比例します。
2-2.破断口からの漏洩
大きい破断口から漏洩する場合、液体と気体で式が異なります。
C:流出係数 A:破断口の断面積 g:重力加速度 h:破断口にかかる内外圧力差
2-3.継ぎ手からの漏洩
圧力が高いほど、密度が低いほど、粘度が小さいほど大きく漏れる。
3-1.静止設備の接続部分からの漏洩防止
塔・槽
低圧ガスが通るフランジ → ジョイントシートガスケットを用いる。
中圧ガスが通るフランジ → メタルジャケットガスケットを用いる。
高温、高圧のガスが通るフランジ → 渦巻型ガスケットor金属リングガスケットを用いる。
反応塔の大口径の端部フランジまたは超高圧装置のフランジにガスケットは自己緊密式を用いる
熱交換器
ノズル、シェルカバー → ジョイントシート、メタルジャケットガスケット、金属リングガスケット等を用いる。
バルブ
グランドパッキンは繊維、黒煙を主材としたものを用いる。
3-2. 機械の動作部分からの漏洩防止
a) 往復圧縮機の軸封装置
往復圧縮機の軸封は主にピストンリング、ピストンロッド、バルブの3か所です。
ピストンロッドパッキン
シリンダーを貫くピストンロッドとのすきまから漏れる可能性があります。その漏れを防ぐためにピストンロッドパッキンを用います。
ラビリンスピストン
ラビ リンス形式は、ピストンの外周に凹凸の溝(ラビリンス構造:迷路)を設け、ラビリンス構造により気密を保たせるもので、給油を必要としません。
b) 遠心圧縮機の軸封装置
ラビリンスシール
軸受や歯車などの潤滑油に異物が浸入しないように、機械の回転軸とハウジングの間で封止(シール)するための部品を言い、数枚挿入する形式が一般的です。わずかな不活性ガスが圧縮機内に入ることを許される場合には、ラビリンスの途中に部屋を設け、不活性ガスを吹き込み方法があり、インジェクションシールと言います。
オイルフィルムシール
軸の周りにガス側とわずかなすき間を有するリングがはめ込まれ、2つのリングの間にガス圧よりわずかに高い圧力の油を供給し、油膜を形成させ、ガスがすき間から大気中に漏れるのを防ぐ構造になっている。
ドライガスシール
気体を密封するために用いられる軸封シールの一つで、潤滑油を使用しないため摩擦係数が小さく発熱が少ないことから,高圧のガス圧縮機において使用率が増加しています。若干のガス漏洩が許される場合に用いられます。
c) 往復ポンプの軸封装置
ピストンロッドパッキンとしてグランドパッキンを使用する。
d) 遠心ポンプの軸封装置
グランドパッキン
ポンプ軸がケーシングの壁を貫通する部分にパッキン箱を設け、パッキンを挿入して漏洩を防いでいる。カーボン、フッ素樹脂などの繊維、黒煙を主材とし潤滑剤で表面処理したものがある。
メカニカルシール
漏洩をほぼ完全に止めることができるので、可燃性、毒性の液体に使用される。ポンプの軸に取り付けられた回転環と、ケーシングに取り付けられた固定環をポンプ軸に直角な面で接触させて漏洩を止める端面密封方式。→振動に弱い。
冷却、潤滑にはフラッシング、クーリング、クエンチングの方法がある。フラッシングは軸封内部の液を循環することにより熱を除去するもので、しゅう動面に異物や不純物が停滞することを防ぐ働きも兼ねており、冷却効果の最も高い方法である。
手締め法:人の手の力で閉める方法を言います。
トルク法:トルクレンチ等を用いて締付けの力を管理して締め付ける方法です。
テンション法:ボルトテンションと呼ばれる油圧の力を使用して締め付ける方法です。
回転角法:トルク法でスナグ点※1まで締め付け、スナグ点から、回転角度に対する軸力のこう配関係を利用し、回転角度から軸力を設定する方法です。
伸び測定法:超音波軸力計を利用してボルトの伸びを測定しながら締め付ける方法です。
ホットボルディング:高温配管に使用するときに、高温状態で増し締めを行うことを言います。これは金属ガスケットの変形後の復元力が弱いことにより、ボルトが伸びることで漏れることを防ぐためです。
※1 ねじと座面を密着させるために必要な締めつけトルクを作用させた点を言います。