燃焼・爆発 乙種化学・乙種機械 保安管理

燃焼・爆発の用語

 燃焼・爆発については、用語の定義が頻繁に出題されます。圧倒的に出題数が多いのは爆ごうですが、その他の用語についてもたびたび出題されているため、すべて覚える必要があります。赤字は過去に聞かれたことのある箇所の重要な部分です。

燃焼とは、物質が酸素などのガスと反応し、熱や光を発生する現象です。
爆発は圧力が急激に発生するかまたは解放することによって大きな音とともにガスが激しく膨張する現象です。
爆燃 ・・・火炎の伝播速度が音速以下の通常の爆発の通常の爆発です。
爆ごう・・・気体の急速な熱膨張の速度が音速を超え、衝撃波を伴いながら燃焼する現象のことで、火炎が超音速で空間を伝播するものです。通常の爆発範囲の中にあって爆発範囲よりも狭いです。
爆ごうだからと言って、どんなに細い管でも伝ぱするわけではありません。
爆ごう転移・・・通常の火炎が次第に加速し、高速の燃焼から爆ごうへと状態が転移することを言います。管の径が細い程、転移が起こりやすいですが、細すぎると、伝ぱ自体が起こりません。
爆ごう誘導距離・・・燃焼が爆ごうに転移するまでの距離を言います。爆ごう誘導距離を短くする方法(1)高い圧力、(2)燃焼速度が大きい、(3)管径が小さい
蒸気爆発(BLEVE)・・・加圧下で加熱された状態の液体があるときに、容器が破れたりして圧力が急に解放されると、気液平衡がくずれて突沸状態になって液体が爆発的に蒸発します。物理的な爆発です。
蒸気雲爆発・・・空気中に可燃性の液体の蒸気およびミストなどが白雲状に広がった状態で発火すると爆発する。混合ガスと液滴噴霧の共存する爆発です。
粉塵爆発・・・炭塵、小麦粉、プラスチックの粉、金属粉などの可燃性の細かい粉が空気中などに浮遊している状態で発火すると爆発します。
液滴噴霧(スプレー)爆発・・・可燃性の液体が液滴状になって空気に浮遊している状態で発火すると可燃性ガスと同様の爆発を起こします。
高圧設備の破裂・・・高圧ガス設備が設備の脆弱性または設備の欠陥などが原因で、あるいは造作ミスなどで設計圧力以上の高圧を加えたため、内圧に耐えられなくなって急激に破壊し、内部の高圧ガスが爆音とともに噴出し、爆風などを生じる現象です。
分解爆発性物質の爆発・・・アセチレン、ゲルマン、オゾンなどは、空気や酸素などの支燃性ガスがなくても、単独のガスが発火により分解反応を起こして爆発です。
液体・固体爆発物の爆発・・・火薬類やニトロメタン、過酸化物などの分子内酸化による爆発、あるいは可燃性物質と酸化剤の混合などの爆発です。
電線の爆発・・・電線などに急激に電流が流れると電線の温度が急上昇して爆発音とともに蒸発します。

火炎の種類

火炎とは、気体が燃焼する時に熱と光を発している部分をいいます。火炎に関しても用語を問う問題が出題されていますが、特に出題が多いのは予混合火炎と拡散火炎についてです。違いとそれぞれの例が出題されたことがあります。

拡散火炎  ・・・可燃性ガスと支燃性ガスが反応の場で混合しながら燃焼します。
          例:ライター、ろうそく、マッチ
予混合火炎・・・可燃性ガスと支燃性ガスがあらかじめ混合された状態で発火し燃焼します。
          例:ブンゼンバーナー
伝播火炎 ・・・空気と混合した可燃性ガスor可燃性液体の蒸気、ミストor粉塵雲を伝播する燃焼です。
噴流火炎(ジェット火炎)・・・高圧のガスや液体などが空気中に勢いよく噴出しながら燃焼です。
プール火炎・・・可燃性液体がプール状に溜まった状態にあり、その液面状で燃焼です。
ファイアボール・・・大量に漏れ出した可燃性のガスなどに火がついて火炎となり、これが浮力によって空中に浮きあがり、大きな球になって燃えている火炎です。

燃焼・爆発の最大化・最小化

化合物を燃やす際、どういったときに、最も早く燃焼するでしょうか。一般に、燃焼速度は化学量論組成付近で最大になります。さて、化学量論組成付近とはどういうことでしょうか。例えばメタンの燃焼では、どうなるでしょう。メタンの燃焼反応を化学反応式で記載すると

CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O

この状態の時を化学量論組成といいます。つまり化学反応式でのモル比が化学量論組成となるため、その付近が最も燃焼速度が大きいということになります。

また、化合物を燃やす際、点火源がなくても温度が大きくなると自然と発火します。この自然に発火するための温度は、化合物ごとに異なります。一方、一般的に多い燃焼は点火源を可燃性物質に近づけることで燃焼する場合がほとんどです。これを引火といいます。引火する際のエネルギーが最も小さくなるのも化学量論組成付近です。この時のエネルギーを最小発火エネルギーといいます。

 一般に圧力や温度が上昇した場合、爆発範囲や最小発火エネルギーがどうなるのか表にまとめした。この内容は時々出題されています。

圧力増加温度増加
最小発火エネルギー小さくなる小さくなる
爆発範囲広くなる広くなる
nerima9worker

高圧ガス製造保安責任者試験の研究をしているガス+α 産業ガスの会社に勤務している現役のエンジニアです。 2022年1月から高圧ガスの試験問題・検定問題を研究しています。 平成25年(2013年)の問題から現在までの出題傾向を踏まえオリジナルの類題を掲載しています。

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