燃焼・爆発 練習問題・演習問題 乙種化学 学識

燃焼・爆発の過去問傾向

 燃焼・爆発については、乙種化学の学識にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。燃焼・爆発に関する問題は過去12間に47問出題されており、ほとんど毎年4問出題されています。燃焼・爆発は合格するために避けては通れない分野と言えます。出題範囲が広く、毎年4問出題されているため、一見すると大変そうに思えますが、傾向も強い分野です。爆発に関する問題は多くが公式に当てはめる容易な問題が多いです。爆発範囲や発火温度、最小発火エネルギー等のガスそれぞれの値の大きさを問う内容も良く出題されています。また、燃焼・爆発に関する用語の意味や特徴を問う内容は2問程出題されることもよくあります。上記3つに分けて問題を作成しましたので、傾向と特徴を把握していただけると幸いです。

項目出題数分類
爆発下限界の計算5計算
爆発下限界の順番5値の大きさ
分解爆発性4ガスの種類
ピーク過圧4計算
発火温度4値の大きさ
爆ごう3用語や特徴
最小発火エネルギー3値の大きさ
連鎖反応2用語や特徴
消炎距離2値の大きさ
発火源2用語や特徴
その他13

練習問題 燃焼・爆発の計算問題

 燃焼・爆発の計算に関する内容は爆発限界値、混合ガスの爆発下限界、ピーク過圧に関する問題の出題がほとんどです。この3つに関しては、確実に覚えた方が良い内容です。ここでは、燃焼・爆発の計算問題における基本的な公式や計算に関する問題を掲載しています。問1~3は計算問題に関する基本的な公式を確認する問題です。問4~6は、過去に複数回出題された内容に関する問題です。問7以降は、過去に1度出題された内容に関する問題です。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.爆発限界値に関するバージェス-ホイーラー(Burgess – Wheeler)の法則を式で表せ。
L:下限界濃度(vol%)、Q:燃焼熱(kJ/mol)、K:定数

解答:LQ = K

問2.爆発下限界に関するルシャトリエの法則を式で表せ。ただし、3種混合とする
L :混合ガスの下限界濃度(vol%)、Li:成分iの下限界濃度(vol%)、Ci:混合ガス中の成分iの濃度(vol%)

解答:

問3.ピーク過圧に関するホプキンソンの三乗根法則を式で表せ。
R:爆発の中心から測定点までの距離、M:爆発物の質量、λ:爆風のピーク過圧の換算距離

解答:

問4.メタン、エタン、プロパンの常温、 大気圧、 空気中における爆発下限界はそれぞれ 5.0 vol%、3.0 vol%、 2.1 vol%、 である。 メタン、エタン、プロパンがそれぞれ 10 vol%、 27 vol%、 63 vol%からなる混合気体の常温、大気圧、空気中での爆発下限界はおよそいくらか。ルシャトリエの法則を用いて計算せよ。

解答:2.4 vol%
ルシャトリエの原理よりL=100/(C1/L1+C2/L2+C3/L3+・・・)なので

問5.質量が81kgの爆発物が爆発し、爆発物から24mの距離の地点で観測されたピーク過圧がMaxであった。同じ物質が同様に爆発し、爆発物から8mの距離の地点で同じピーク過圧が観測されたとき、爆発した物質の質量はいくらか。

解答:3kg
ホプキンソンの三乗根法則より
換算距離λ=爆発中心からの距離R/爆発物の質量3√Mより

問6.エタンとプロパンの燃焼熱をそれぞれ、1,429kJ/mol、2,043kJ/molとした場合、エタンの爆発下限界が3.0%の時、プロパンの爆発下限界Lpはいくつか。

解答:2.1 vol%
バージェス-ホイーラー(Burgess – Wheeler)の法則よりLQ = Kから
L:下限界濃度(vol%)、Q:燃焼熱(kJ/mol)、K:定数
3.0 × 1,429 = Lp × 2,043が成り立ちます。
Lp = 3 × 1,429 ÷ 2,043
Lp = 2.0983・・・≒ 2.1

練習問題 燃焼・爆発の値の大きさ

 燃焼・爆発の値の大きさに関する内容は爆発下限界、発火温度、最小発火エネルギー、消炎距離に関する問題の出題がほとんどです。この4つに関しては、確実に覚えた方が良い内容です。ここでは、燃焼・爆発の値の大きさにおける基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~4は燃焼・爆発に関する用語を確認する問題です。問5~8は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問9以降は過去に1度出題された内容に関する問題です。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.ガスによる爆発が起こるのに最低限度の必要な濃度を何というか。

解答:爆発下限界

問2.火源がなくてもある温度を超えると火が付く際の温度を何というか。

解答:発火温度

問3.爆発性混合ガスの中を伝播する火炎が、細い管や狭い隙間を通り抜けることができない隙間を何というか。

解答:消炎距離

問4.爆発範囲内にある可燃性混合ガスを発火させるのに必要な最小のエネルギーを何というか。

解答:最小発火エネルギー

問5.次のガスを 常温、 大気圧、 空気中における爆発下限界の低いものから順に並べなさい。
アセチレン、アンモニア、エチレン、シラン、ヘキサン、メタン、水素、一酸化炭素

解答:ヘキサン < シラン < アセチレン < エチレン < 水素 < メタン < 一酸化炭素 < アンモニア

問6.次の可燃性ガスと空気の常温・常圧における混合気体について、最小発火エネルギーの最低値が小さい順に正しく並べなさい。
アセチレン、アンモニア、エタン、プロパン、ベンゼン、メタン、二酸化炭素、水素 

解答:二酸化炭素 < 水素 < アセチレン < メタン < エタン < プロパン < ベンゼン < アンモニア

問7.次のガスと空気の常温、 大気圧における混合気体について、 消炎距離が小さい順に正しく並べなさい。
アセチレン、エタン、水素、二酸化炭素、プロパン、ベンゼン、メタン

解答:二酸化炭素 < 水素 < アセチレン < プロパン < エタン < メタン < ベンゼン

問8.次の可燃性ガスと空気の常温・常圧における混合気体について、発火温度が小さい順に正しく並べなさい。
エタン、水素、ヘキサン、ブタン、メタン

解答:ヘキサン < ブタン < エタン < 水素 < メタン

問9.最大安全すきまの大きい順に並べよ。
酸化エチレン、水素、二硫化炭素、ブタン、プロパン

解答:ブタン > プロパン > 酸化エチレン > 二硫化炭素 > 水素

問10. 常温、大気圧の空気中における爆発範囲の広いものから順に並べよ。
アセチレン、一酸化炭素、水素、メタン、メタノール

解答:アセチレン > 一酸化炭素 > 水素 > メタノール > メタン

問11.空気と化学量論組成で混合し、常温、大気圧 で燃焼させた場合、 燃焼速度が小さい順に正しく並べなさい。
アセチレン、エタン、プロパン、水、メタン

解答:メタン < エタン < プロパン < アセチレン < 水素 

練習問題 燃焼・爆発の用語と特徴

 燃焼・爆発の用語と特徴に関する内容は爆ごう、連鎖反応、発火源等のように1つの用語に関して詳しく聞く問題もありますが、ほとんどは、その用語が正しいかどうかを聞く問題がほとんどです。幅広く覚える必要があります。問1~3は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問4~16過去に1度出題された内容に関する問題です。問17以降が過去に出題されたことがないものの重要と考えれる内容です。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.気体の急速な熱膨張の速度が音速を超え、衝撃波を伴いながら燃焼する現象を何というか答えなさい。

解答:爆ごう

問2.活性な遊離原子や遊離基が反応中間物として、存在・再生される反応を何というか。

解答:連鎖反応

問3.出火に直接関係し、又はそれ自体から出火したものを何というか。

解答:発火源

問4.炭塵、小麦粉、プラスチックの粉、金属粉などの可燃性の細かい粉が空気中などに浮遊している状態で発火する爆発を何というか。

解答:粉じん爆発

問5.空気や酸素などの支燃性ガスがなくても、単独のガスが発火により起す爆発を何というか。

解答:分解爆発

問6.加圧化で加熱された状態の液体があるときに、容器が破れたりして圧力が急に解放されると、気液平衡がくずれて突沸状態になって液体が爆発的に蒸発する物理的な爆発を何というか答えなさい。

解答:蒸気爆発(BLEVE)

問7.一般に可燃性ガスにおいて、空気中と比較して酸素中では広くなるのは何か。

解答:爆発範囲

問8.空気中に可燃性の液体の蒸気およびミストなどが白雲状に広がった状態で発火し起こる爆発を何というか答えなさい

解答:蒸気雲爆発

問9.窒素、二酸化炭素等の爆発防止対策の効果があるのは何ガスか。

解答:不活性ガス

問10.二酸化炭素、窒素のうち希釈効果が大きい方を答えなさい。

解答:二酸化炭素
窒素と比べると二酸化炭素はモル熱容量が大きいので冷却効果、希釈効果が大きい。

問11.可燃性ガスが発火するのに最小のエネルギーとなるのは、混合ガスがどういった比率の時か。

解答:化学量論組成

問12.可燃性の高圧ガスがノズルから噴出するときに発火した場合の原因は何か。

解答:静電気

問13.点火源を液面に近づけたときに燃焼が始まる最低温度を何というか。

解答:引火点

問14. 可燃性の液体が液滴状になって空気に浮遊している状態で発火し、起こる爆初を何というか。

解答:液滴噴霧の爆発

問15.拡散燃焼と予混合燃焼について説明しなさい。

解答:拡散火炎・・可燃性ガスと支燃性ガスが反応の場で混合しながら燃焼する
   予混合火炎・・可燃性ガスと支燃性ガスがあらかじめ混合された状態で発火し燃焼する

問16.火炎の伝播速度が音速以下の爆発を何と呼ぶか。

解答:爆燃 

問17.高圧のガスや液体などが空気中に勢いよく噴出しながらする燃焼は何と呼ばれるか。

解答:噴流火炎またはジェット火炎

問18.可燃性液体がプール状に溜まった状態にあり、その液面状で燃焼することを何と呼ぶか。

解答:プール火炎

問19.空気と混合した可燃性ガスor可燃性液体の蒸気、ミストor粉塵雲を伝播する燃焼を何と呼ぶか。

解答:伝播火炎

問20.大量に漏れ出した可燃性のガスなどに火がついて火炎となり、これが浮力によって空中に浮きあがり、大きな球になって燃えている火炎を何と呼ぶか。

解答:ファイアボール

演習問題 燃焼・爆発の計算問題

 次の各問について計算して求めなさい。

問1.メタン、エタン、プロパンの常温、 大気圧、 空気中における爆発下限界はそれぞれ 2.0 vol%、3.0 vol%、 3.0 vol%、 である。 メタン、エタン、プロパンがそれぞれ 10 vol%、 15 vol%、 60 vol%からなる混合気体の常温、大気圧、空気中での爆発下限界はおよそいくらか。ルシャトリエの法則を用いて計算せよ。

解答:3.0 vol%

問2.メタンが20vol%のメタン、エタンおよびプロパンからなる混合ガスがある。この混合ガスの常温、大気圧、空気中における爆発下限界はおよそ4%であった。このときの混合ガス中のエタンおよびプロパンの濃度はおよそいくらか。ル・シャトリエの法則を用いて求めよ。ただし、メタン、エタンおよびプタンの常温、大気圧、空気中における爆発下限界はそれぞれ5.0vol%、3.0vol%および2.0vol%とする。

解答:エタン:46 %、プロパン:34%

問3.質量が27kgの爆発物が爆発し、爆発物から24mの距離の地点で観測され たピーク過圧がMaxであった。 同じ物質が同様に爆発し、爆発物から8mの距離の地点で同じピーク過圧が観測されたとき、爆発した物質の質量はいくらか。

解答:1㎏
ホプキンソンの三乗根法則より

問4.質量が1tの爆発物から100mの距離における爆風ピーク過圧と、質量が125kgの同じ爆発物を爆発させた場合の爆風ピーク過圧が等しくなる距離はいくらか。

解答:50m
ホプキンソンの三乗根法則より

演習問題 燃焼・爆発の値の大きさ

 次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。

問1.次のガスを常温、 大気圧、 空気中における爆発範囲の低いものから順に並べなさい。
アンモニア、エタン、ヘキサン、メタン、水素、一酸化炭素

解答:ヘキサン < エタン < メタン < アンモニア < 一酸化炭素 < 水素

問2.次の可燃性ガスと空気の常温・常圧における混合気体について、最小発火エネルギーの最低値が小さい順に正しく並べなさい。
アセチレン、アンモニア、エタン、プロパン、ベンゼン、メタン、二酸化炭素、水素 

解答:二酸化炭素 < 水素 < アセチレン < メタン < エタン < プロパン < ベンゼン < アンモニア

問3. 次のガスと空気の常温、大気圧における混合気体について、 消炎距離が大きいものから順に並べたものはどれか。
アセチレン、酸化エチレン、水素、二酸化炭素、メタン

解答:二酸化炭素 < 水素 < アセチレン < 酸化エチレン < プロパン < エタン < メタン

問4.次のガスと空気の常温、 大気圧における混合気体について、 燃焼速度が小さい順に正しく並べなさい。

解答:メタン < エタン < プロパン < アセチレン < 水素

演習問題 燃焼・爆発の用語と特徴

 次の各問に対して正しいかどうか答えなさい。誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。または、適切な解答を答えなさい。

問1.爆ごうは音速より小さい伝ぱ速度である。

解答:誤り 小さい → 大きい 
解説:非常に激しい爆発で衝撃波を伴います。

問2.管内で火炎が発生した場合、管径が大きいほど短い伝ぱ距離で爆ごうに転移する。

解答:誤り 大きい → 小さい
解説:管の径が細い程、転移が起こりやすいですが、細すぎると、伝ぱ自体が起こりません。

問3.蒸気雲爆発はBLEVEと呼ばれ、物理的な爆発である。

解答:誤り 蒸気雲爆発 → 蒸気爆発
解説:加圧下で加熱された状態の液体があるときに、容器が破れたりして圧力が急に解放されると、気液平衡がくずれて突沸状態になって液体が爆発的に蒸発する現象です。

問4.強いレーザー光は発火源になることがある。

解答:正しい
解説:静電気放電による発火や断熱圧縮による発火も発火源の1つです。

問5.ある地点で観測された強い爆発による爆風圧は、最大圧力に達し、その後、負圧の状態がある。

解答:正しい
解説:最大圧力から大気圧に戻る途中で負圧になります。

問6.高圧容器の破裂、粉じん爆発、蒸気爆発は物理的な爆発である。

解答:誤り 粉じん爆発 → ×
解説:粉じん爆発は炭塵、小麦粉、プラスチックの粉、金属粉などの可燃性の細かい粉が空気中などに浮遊している状態で発火すると爆発する現象です。

問7.一般に、圧力が高くなると、爆発下限界は上昇する。

解答:誤り 上昇 → 低下
解説:一般に、温度が上昇した場合も爆発下限界は低下します。

問8.消炎距離は化学量論組成付近で最も小さくなる。

解答:正しい
解説:爆発性混合ガスの中を伝播する火炎も、あまり細い管や狭い隙間を通り抜けることができません。この隙間の限界寸法を言います。

問9.分解爆発性ガスを5つ答えなさい。

解答:アセチレン、ヒドラジン、オゾン、エチレンオキシド、エチレン、ゲルマン、一酸化窒素

nerima9worker

高圧ガス製造保安責任者試験の研究をしているガス+α 産業ガスの会社に勤務している現役のエンジニアです。 2022年1月から高圧ガスの試験問題・検定問題を研究しています。 平成25年(2013年)の問題から現在までの出題傾向を踏まえオリジナルの類題を掲載しています。

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