計装の過去問傾向
計装については、乙種機械の学識にて近年、毎年出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。下記表では、13項目が複数回出題されています。暗記量が多いではありますが、流量家、温度計、制御等のそれぞれの特徴を問う内容が多いです。また、乙種機械の保安管理技術でも出題される分野です。両方で得点できるように網羅的に覚えて解答しましょう。
項目 | 出題数 |
オリフィス | 4 |
フィードバック制御、フィードフォーワード制御 | 4 |
抵抗温度計 | 4 |
バイメタル温度計 | 3 |
熱電温度計 | 3 |
シーケンス制御 | 3 |
ガスクロマトグラフ | 3 |
ドライレグ方式 | 3 |
電磁流量計 | 2 |
面積流量計 | 2 |
渦流量計 | 2 |
容積式流量計 | 2 |
ブルドン管 | 2 |
差圧式液面計 | 2 |
その他 | 9 |
練習問題
ここでは、計装分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~13は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問14~18は過去に1度出題されたことのある内容に関する問題です。問19は過去に出題されたことない問題ですが、重要と思われる内容に関する問題です。
問1.流量の調節や測定に用いる薄い壁にあけた流体の流れ出る穴のことを何というか。
解答:オリフィス
問2.測定管(テーパ管)内に自由に昇降できるフロートを収め、それを適当な支持具で組立てたものを何というか。
解答:面積流量計
問3.コイルに電流を流して計測管内に磁界をつくり、その中を流れる導電性液体の流速に従って発生する起電力の大きさを検出して流量を測定する流量計を何というか。
解答:電磁流量計
問4.カルマンによって理論的に証明された法則を利用した流量計は何というか。
解答:渦流量計
問5.回転子などの可動部とそれを包むケースとの間に形成される一定容積の空間部を升としてその中に流体を充満させて、それを連続的に流出口へ送り出す構造の流量計を何というか。
解答:容積式流量計
問6.金属にある電気抵抗が温度上昇とともに変化することを利用した温度計を何というか。
解答:抵抗温度計
問7.熱膨張率の異なる2種類の薄い金属を貼り合わせ、温度が上昇すると熱膨張率の小さいへ曲がることで測定する温度計を何というか。
解答:バイメタル式温度計
問8.2種類の胴体を電気的に接続し、回路を作り、2つの接合点の温度が異なるようにすると、この回路には両端の温度差に比例した熱起電力が生じることで測定する温度計を何というか。
解答:熱電温度計
問9.ベルヌーイの定理を利用した液面計を何というか。
解答:差圧式液面計
問10.機器やシステムの出力結果を目標値である出力値と比較して、その結果を入力値へ反映させる制御を何というか。
解答:フィードバック制御
問11.あらかじめ定められた順序または手続きに従って、制御の各段階を逐次進めていく制御を何というか。
解答:シーケンス制御
問12.気体や液体試料をキャリヤーガスが流れるカラムを通じて分離し、各成分を詳細に識別します装置を何というか。
解答:ガスクロマトグラフ
問13.低圧側の圧力を引き込む導圧管内に気体をそのまま充満させる方法によって測定する差圧式液面計を何というか。
解答:ドライレグ方式
問14.断面が扁平な楕円形の金属管があり、圧力を加えると、管が変形し、この変位量を読み取ることで測定する装置を何というか。
解答:ブルドン管圧力計
問15.ディスプレッサを細いワイヤでつり、これを巻き取り回転角を測定することで計測する液面計を何というか。
解答:ワイヤドラム式
問16.液体を排除するものを液中に浸した際、それが浮力によって変動することを利用して測定する液面計を何というか。
解答:ディスプレーサ式液面計
問17.分子からの特定の波長を吸収することで測定する装置を何というか。
解答:赤外線式分析計
問18.圧力を受ける部分にダイヤフラムが取り付けられた圧力計を何というか。
解答:隔膜式圧力計
問19.モデル予測制御、知識型制御などがある制御を何というか。
解答:アドバンスト制御
問20.流路の中にロータを設け、流速にほぼ比例した速度で回転します。これを測定することで流量を測定する流量計は何というか。
解答:タービン式流量計
問21.水銀または有機液体の膨張を利用して測定する温度計を何というか。
解答:ガラス製温度計
問22.ガラスを通して液面を直接見れる液面計を何というか。また、その液面計を2種類答えよ。
解答:ゲージグラス、透視式と反射式
問23.タンクゲージを2種類答えよ。
解答:フロート式、ワイヤドラム式
演習問題
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.オリフィス式流量計では、絞り部分の面積の2乗に反比例する。
解答:正しい
解説:体積流量;qv、流量計数;a、絞り部分の面積;A、差圧;Δp、流体密度;ρとすると、Δp = ρqv2/(2a2A2)となります。
重要:オリフィスに関する問題は過去に4回出題されてます。
問2.面積式流量計は、フロートの動きを検出して流量を求めることができる。
解答:正しい
解説:測定管(テーパ管)内に自由に昇降できるフロートを収め、それを適当な支持具で組立てたものです。
重要:面積式流量計に関する問題は過去に2回出題されてます。
問3.渦流量計は、カルマン渦の周波数が流速に反比例することを利用している。
解説:誤り 反比例 → 比例
解説:流れを測定するために、流体の渦を生成し、その渦を測定することで流量を求めることができます。
重要:渦流量計に関する問題は過去に2回出題されてます。
問4.電磁流量計は、ファラデーの電磁誘導の法則に用いており流速は磁界に反比例する。
解答:正しい
解説:起電力;E、定数;k、磁界;B、管の内径;D、平均流速;uとするとE=kBDu
問5.ドライレグ方式の差圧式液面計で液高さを求める場合、液体の密度に液の高さが比例する。
解答:正しい
解説:高圧側圧力;p2、低圧側圧力;p1、密度;ρ、重力加速度;g、液体の高さ;hとするとp1-p2 = ρgh
重要:ドライレグ方式に関する問題は過去に3回出題されてます。
問6.熱電温度計は、熱膨張率の異なる2種類の薄い金属を貼り合わせたものである。
解答:誤り 熱電温度計→バイメタル式温度計
解説:バイメタルのバイは英語でbiと書き、2つという意味を持ち、メタルの意味は金属です。『バイメタル』=『2つの金属』と覚えておけば、間違いにくくなります。
重要:熱電温度計に関する問題は過去に3回出題されてます。
問7.ゼーベック効果を利用した温度計は熱電温度計である。
解答:正しい
解説:ゼーベック効果とはある物質の両端に温度差を与えると その両端間に電位差(起電力)が生じることを言います。この熱起電力を利用して測定する温度計を熱電温度計と言います。『熱電温度計』=『2種類の導体による熱起電力』と覚えてください。2つの金属ではありません。
問8.白金-ロジウムの熱電対を用いた温度計は1000°C以上の高温でも用いることができる。
解答:正しい
解説:熱電対が白金-ロジウムは1400°C程度、クロメル(ニッケルとクロムの合金)-コンスタンタン(銅とニッケルの合金)は1000°C程度、銅-コンスタンタンは300°C程度で用いられる。
問9.バイメタル式温度計は、2つの金属の電気抵抗が温度により変化することを利用している。
解答:誤り バイメタル式温度計は、2つの金属の → 抵抗温度計 or 2つの金属の電気抵抗が温度により変化することを利用している。熱膨張率の異なる2種類の薄い金属を貼り合わせ、温度が上昇すると熱膨張率の小さいへ曲がることを利用している。
解説:バイメタル温度計は、2つの金属の熱膨張を利用しています。
重要:バイメタルに関する問題は過去に3回出題されてます。
問10.ワイヤドラム式液面計は、ワイヤドラムの回転角をで読み取り測定する。
解答:正しい
解説:ディスプレーサ(液体を排除するもの)を細いワイヤで吊るし、このワイヤをドラムに巻き取る液面計です。
問11.ディスプレーサ式液面計は、トルクチューブを用いてねじれ角を検出する液面計である。
解答:正しい
解説:ディスプレッサーが、液中に沈む深さに比例します。
問12.隔膜式圧力計は、腐食性流体、固形物を含む流体などに用いられるが、高粘度流体には、適さない。
解答:誤り 適さない。 → 適する。
解説:圧力を受ける部分に隔膜が取り付けられた圧力計です。
問13.重錘型圧力計は、ラムの有効受圧面積に反比例する。
解答:正しい
解説:ゲージ圧力;p、重錘の質量;m、ラムの有効受圧面積;A、重力加速度;gとするとp = mg/Aで表され、重錘と油圧の釣り合いを利用した圧力計です。精度が高い。
問14.ブルドン管圧力計は、断面が扁平な楕円形の金属管があり、圧力を加えると、管が変形し、この変位を読み取ることで測定する。
解答:正しい
解説:金属間の一旦を圧力導入部に接続し、他端を密閉することで変形させます。
重要:ブルドン管圧力計に関する問題は過去に2回出題されてます。
問15.マノメータの圧力差は、液柱の差、液密度に比例する。
解答:正しい
解説:マノメータはU字管圧力計と呼ばれ、圧力差;Δp、液柱の差;h、液密度;ρ、重力加速度;gとすると、Δp = ρghで表されます。
問16.ガスクロマトグラフは、混合ガスを各成分ガスに分離し、検出器でガス濃度を測定するものである。
解答:正しい
解説:ガスクロマトグラフの種類は、熱伝導形、水素炎イオン形、電子捕獲形等があります。
重要:ガスクロマトグラフに関する問題は過去に3回出題されてます。
問17.赤外線式分析計は、酸素、窒素、水素等同一原子からなる物質のガス濃度測定に適する。
解答:誤り 酸素、窒素、水素等同一原子からなる →一酸化炭素、二酸化炭素、メタンなどの異なる原子からなる or 適する → 適していない
解説:希ガスの測定にも不向きで分子の赤外線吸収量によって測定します。
問18.シーケンス制御は、定められた操作手順に従って、手動で操作を行うものである。
解答:誤り 手動 → 自動
解説:バッチプロセスに多用されています。
重要:シーケンスに関する問題は過去に3回出題されてます。
問19.アドバンスト制御は、複雑なシステムやプロセスを制御するために使用される制御理論である。
解答:正しい
解説:アドバンストPID制御、モデル予測制御、知識型制御(知識工学、ファジー理論)等があります
問20.フィードバック制御では、目標値と制御量の差に基づいて制御装置が判断し、操作量を変化させる。
解答:正しい
解説:フィードバック制御(予測制御)はフィードバック制御と組み合わせて使用されます。
重要:フィードバック制御に関する問題は過去に4回出題されてます。
問21.ゲージ弁は、高差圧流体に対して動作が安定しているため、低騒音弁として用いられる。
解答:正しい
解説:ケージ弁はケージ内にしゅう動するプラグを設けた弁で、流体の流れの均一化が図られ、プラグの振動が抑制されます。
問22.計装機器ではフェール・セーフとして、緊急時のみに操作するスイッチにカバーを付けた。
解答:誤り フェール・セーフ → フール・プルーフ
解説:フェール・セーフ(故障安全)は、機械が故障した際に安全な状態であるように設計することを言います。ヒューマンエラーの対策のことをフール・プルーフ(愚か者証明)と言います。
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