運転管理については、乙種化学、乙種機械ともに保安管理技術にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。設備設備に関しては11項目が多く出題されており、一見する幅広く出題されています。しかしながら、保全計画に関する内容や塔槽内作業に関するものが多く出題されています。特に保全計画について、しっかりと覚えれば、正解しやすい分野だと考えます。
項目 | 出題数 |
火気工事 | 6 |
塔槽内の作業 | 5 |
保全計画 | 4 |
重要度ランク | 4 |
可燃性ガスの貯槽 | 4 |
時間基準保全 | 3 |
状態基準保全 | 3 |
予防保全 | 2 |
改良保全 | 2 |
毒性ガス | 2 |
気密検査 | 2 |
その他 | 11 |
ここでは、設備管理における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~11は過去に2回以上出題された内容に関する内容です。問12~13は過去に1度出題された問題に関する内容です。問14以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。
問1.設備の故障、不具合発生、性能低下等を未然に防ぐため、計画的に設備を整備し、突発故障を防止することを目的とした保全方法を何というか。
解答:予防保全
問2.あらかじめ決められた周期ごとに部品交換や修理を行う保全方式を何というか。
解答:定期保全または時間基準保全
問3.機器の状態を監視し、劣化兆候を把握することで、設備状況に合わせ予測しながら保全する方法を何というか。
解答:状態基準保全
問4.故障が発生した際、二度と同じ故障を起こさないように、改良を含めて整備・修理を行う保全を何というか。
解答:改良保全
問5.設備保全業務を適正に実施できるように、必要なポイントをまとめた指針を何というか。
解答:保全計画
問6.設備の安全性、生産性、保全性等の観点によって分類することを何というか。
解答:重要度ランク
問7. 電気器具の使用時の火花、手動工具使用時の衝撃火花、摩擦火花等が生じる工事を何というか。
解答:火気工事
問8.設備において、可燃性ガスの置換や毒性ガスの置換が必要な作業はどのような作業か。
解答:塔槽内の作業
問9.不活性ガスに置換後、空気に置換してから酸素濃度を確認後、作業する貯槽はどのような貯槽か。
解答:可燃性ガスの貯槽
問10.塔槽内の作業において、許容濃度以下であることを確認するのはどのようなガスか。
解答:毒性ガス
問11.定期検査において、ガスの漏れがないことを確認するのは何検査か。
解答:気密検査
問12.設備を止めることなく、検査用機器等を用いて運転中に行う検査英語で何というか。
解答:OSIまたはOn Stream Inspection
問13. 設備診断の結果を基に対象とする設備がいつまで使用可能であるかを予測する技術を何というか。
解答:寿命予測
問14.設備が故障してからや設備性能が低下してから整備、修理を行うことを前提に計画的に管理する保全を何というか。
解答:計画事後保全
問15.可燃性ガス塔槽類の清掃作業前準備として、安全な状態への置換条件を答えなさい。
解答:爆発下限界の1/4以下
問16.酸素の塔槽類の清掃作業前準備として、安全な状態への置換条件を答えなさい。
解答:酸素濃度22vol%以下
問17.毒性ガス塔槽類の清掃作業前準備として、安全な状態への置換条件を答えなさい。
解答:許容濃度以下
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.年間保全計画は、実施する保全の時期を操業計画と調整して作成する。
解答:正しい
解説:保全カレンダーとも言われ、工事計画や材料の発注も含めて計画が必要です。
問2.改良保全は、 効率的、経済的に行うため整備方法を改善することであり、仕様変更や設備構造の変更を含まない保全方式である。
解答:誤り 含まない → 含めることもできる
解説:改良保全(CM)では、機器設計上の改良点を提案し、再設計する行為も含まれる保全方法です。
重要:改良保全に関する問題は過去に2回出題されてます。
問3.予防保全(PM)は、計画的に行うもので、時間基準保全(TBM)と状態基準保全(CBM)がある。
解答:正しい
解説:PMはPreventive Maintenanceの略で、計画的に設備を整備して突発故障の防止を目的とする保全方式です。
重要:予防保全に関する問題は過去に2回出題されてます。
問4.製造設備の異常は、定期検査だけでは運転中の経時的変化を把握しにくいので、日常検査はそれを補うものとして意味がある。
解答:正しい
解説:運転中の検査をOSI(On Stream Inspection)と言います。
問5.状態基準保全 (CBM) は,、設備が故障または要求された性能の低下をが起こってから整備、修理を行うことを前提に計画的に管理する方式である。
解答:誤り 状態基準保全(CBM) → 計画事後保全(BM)
解説:状態基準保全は、機器の状態を監視し、劣化兆候を把握することで、設備状況に合わせ予測しながら保全する方法です。
重要:状態基準保全に関する問題は過去に3回出題されてます。
問6.時間基準保全 (TBM) の設備について、メンテナンス周期が短すぎるとオーバーメンテナンスになり 長すぎると故障による設備停止につながるため、過去の点検結果等に基づい てメンテナンス周期を決定した。
解答:正しい
解説:定期保全とも呼ばれ、周期的に行うことで保全工数を少なくすることが可能です。
重要:時間基準保全に関する問題は過去に3回出題されてます。
問7.保全計画の策定は、対象となる設備を明確にし、 重要度ランクを決定した後に設備の保全方式を決定する。重要度ランクは、生産性、保全性、品質の3つで判定する。
解答:誤り 品質 → 安全性
解説:保全方式の重要度ランクは安全性、保全性、生産性の3つであり、品質は保全性に含まれます。
重要:保全計画に関する問題は過去に4回出題されており、重要度ランクに関する問題は過去に4回出題されています。
問8.電気器具の使用時は、火花に対する安全対策として、防爆器具や安全工具を使用して安全環境を確保して行った。
解答:正しい
解説:火気工事における安全環境とは、可燃性ガスの漏えい防止措置、可燃性ガス濃度の測定、火花飛散防止、消火器の設置等があります。
問9.一般的に高所では通風がよいため、溶接作業周辺に可燃性ガスがないことを確認すれば、 火花飛散防止などの処置は必要ない。
解答:誤り 必要ない → 必要ある
解説:溶接時の火花が落下して発火する可能性もあります。
問10.火気工事では、溶接、内燃機関、工具による火花に対する考慮がある。
解答:正しい
解説:火花に対する処置以外にも消火器の設置や安全環境の確保も重要です。
重要:火気工事に関する問題は過去に5回出題されてます。
問11.可燃性ガス貯槽の内部での作業を行うためには、 貯槽内の可燃性ガスを排出した後、可燃性ガスを空気で置換し、酸素濃度が18~22vol%であることを測定して、作業許可を得てから作業を実施した。
解答:誤り 空気で置換する前に「爆発下限界の1/4以下になるように不活性ガスで置換する」を追加する必要があります。
解説:不活性ガスとしては窒素等が用いられます。
重要:可燃性ガスに関する問題は過去に4回出題されてます。
問12.可燃性ガス貯槽の貯槽内の作業において、爆発下限界以下になるまで窒素で置換した後、酸素濃度が18~22 vol%になるまで空気で再置換したので、作業前に酸素濃度を測定してから作業をした。
解答:誤り 爆発下限界以下になる → 爆発下限界の1/4以下になる
解説:可燃性ガス貯槽等で爆発限界以下は誤りですが、高圧ガス試験では誤った問題として頻繁に出題されています。
問13.可燃性ガス貯槽の内部の掃除や検査において、貯槽に接続されている配管と遮断のため、元弁を閉止してから仕切板を挿入した。
解答:正しい
解説:配管との接続を遮断するためには、仕切板を挿入する必要があります。
問14.毒性ガスの塔槽類を清掃するため、空気によって再置換した後、入槽する前に毒性ガスが許容濃度以下であることを確認した。
解答:正しい
解説:毒性ガスの場合、安全な状態への置換条件は、毒性ガスが許容濃度以下であることです。
重要:毒性ガスに関する問題は過去に2回出題されてます。
問15.窒素の貯槽で作業をするため、空気によって再置換した後、酸素欠乏症にならないように、酸素濃度が23vol%と測定できたため、許可を得てから入槽した。
解答:誤り 23vol% → 18~22vol%
解説:酸素欠乏症にはなりませんが、22vol%以上では火災時に危険なため、22vol%以下である必要があります。