運転管理の過去問傾向
運転管理については、乙種化学、乙種機械ともに保安管理技術にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。運転管理に関しては7項目が何度も出題されておりますが、1度しか出題されていない問題も多くあります。しかしながら、運転管理について、知識、用語等の専門的な内容だけでなく、製造業で働いてれば、一般的な内容も多く出題されています。頻出の項目を抑えておけば、正解しやすい分野だと考えます。
項目 | 出題数 |
ハンドル廻し | 5 |
フラッディング | 4 |
スケールの沈着 | 4 |
ロールオーバ | 3 |
開閉方向標示 | 2 |
置換 | 2 |
霜着き | 2 |
その他 | 26 |
練習問題
ここでは、運転管理における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~6は過去に2回以上出題された内容に関する内容です。問7~8は過去に1度出題された問題に関する内容です。問9以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。
問1.バルブ開閉の際に大きな力が必要な場合に何を用いるか。
解答:ハンドル廻し
問2.液が流下しないようになり、液のすべてが上段に運ばれる現象を何というか。
解答:溢汪現象(フラッディング)
問3.バルブ操作において何を標示すると良いか。
解答:開閉方向標示
問4.加熱炉内の加熱管では、火炎の状況の変化や管内での何によって局部的に輝度が大きくなることがあるか。
解答:スケール沈着
問5.低温、低密度の 液化ガス(LNG等) が残っている貯蔵タンクに、高密度の液化ガスを充填した場合、両液化ガスは混合せず2層になることを何というか。
解答:ロールオーバ
問6.可燃性ガス装置を使用する場合、空気から直接可燃性ガスに置換せず、どうするか。
解答:不活性ガスに置換してから可燃性ガスに置換する
問7.表面に空気中の水蒸気が凝縮し氷結して霜状に付着する現象を何というか。
解答:霜着き
問8.作業を安全に誤りなく進めるため、大きな声で唱えて確認する方法を何というか。
解答:指差し呼称
問9.ポンプケーシング(ポンプの内部)や吸込み配管に液体がない状態で運転することを何というか。
解答:空引き
問10. 精留塔、吸収塔、蒸発缶等で、微小液滴が蒸気または気体によって上のトレイ(上段)に運ばれる現象で、段効率低下の原因となる現象を何というか。
解答:飛沫同伴(エントレイメント)
問11.塔の液量が少ない場合等に、蒸気によって液が吹き飛ばされる現象を何というか。
解答:ブローイング
問12.塔での蒸気量が減少すると、トレイの孔(穴)から段液が漏れて下降する現象で、重度の場合と軽度の場合それぞれ何というか。
解答: (重度)ダンピング (軽度)ウィーピング
問13.加熱炉において、局部的に過加熱が起こることを何というか。
解答:ホットスポット
問14.配管のバルブを急激に閉止すると液体の慣性力が運動エネルギーに変化して配管、バルブに衝撃を与える現象を何というか。
解答:ウォータハンマー
演習問題
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.蒸留塔内の蒸気速度が増加して液のすべてが上段に運ばれると、エントレイメントが発生し、塔底液の抜出量が減少して運転が困難になる。
解答:誤り エントレイメント → フラッディング現象
解説:エントレイメントはフラッディング現象が起こる前の現象です。
重要:フラッディングに関する問題は過去に4回出題されてます。
問2.加熱炉の加熱管はホットスポットが生じることがあるので、点検窓からの目視確認を行っている。
解答:正しい
解説:ホットスポットは加熱炉において、局部的に過加熱が起こることです。
問3.加熱炉内の加熱管は、ロングフレームにより過加熱されたり、管内でのスケールの沈着によって局部的に輝度が大きくなることで、配管が破断することがある。
解答:正しい
解説:ホットスポットに関する問題です。
重要:スケールの沈着に関する問題は過去に5回出題されてます。
問4.冷凍装置の外表面への霜着きは、低温装置の断熱不良によって起きることがある。
解答:正しい
解説:霜着きは、装置内部からの低温物質の漏洩やバルブの内漏れ等からも起こることがあります。
重要:霜着きに関する問題は過去に2回出題されてます。
問5.液化天然ガ貯槽等で、 急激な蒸発により大量のガスが発生することをロールオーバという。
解答:正しい
解説:ロールオーバーはLNG等で起こり、密度の違いなどにより2層に分かれることで、大量に蒸発するため危険です。
重要:ロールオーバーに関する問題は過去に3回出題されてます。
問6.配管途中にあるバルブを急に閉止すると、流速が急に低下し、配管やバルブに衝撃を与え、配管等を破壊を起こすことがある。
解答:正しい
解説:ウォータハンマーについての説明です。液圧が上昇しようとするときに、液を管系よりタンクに逃がすことは、衝撃、破壊を防止する一つの方法です。
問7.ポンプの空引き現象が発生する原因の一つとして、吸込配管側のガスの滞留がある。
解答:正しい
解説:ポンプの空引き現象の原因は他に、液温が沸点に近い状態、バルブの開度不良等があります。
問8.毒性ガス濃度が変動するような毒性ガスの漏えい時には、空気呼吸器用いた。
解答:正しい
解説:毒性ガスの漏洩が高濃度の場合には、隔膜式防毒マスクは使用できません。
問9. 可燃性ガスを取り扱う装置の運転開始に、 空気から不活性ガスへ置換し、次に不活性ガスから空気に再度置換してから可燃性ガスへ置換した。
解答:誤り 空気に再度置換してから → ×(不要)
解説:可燃性ガスを使用する場合、不活性ガスに置換してから可燃性ガスに置換します。空気と可燃性ガスが混合し、火災が起こる可能性をなくすためです。
重要:置換に関する問題は過去に2回出題されてます。
問10.ガス火災で、散水冷却を行い、不活性ガスによる希釈操作を行ったので並行して装置内の残ガスをフレアースタックに放出しなかった。
解答:誤り 並行して装置内の残ガスをフレアースタックに放出しなかった。 → 並行して装置内の残ガスをフレアースタックに放出した。
解説:散水冷却は放射熱による周辺への延焼を抑止するために行います。
問11.バルブが非常にかたくて開閉操作が困難なので、複数名で操作できるように柄の長いハンドル廻しを用い、開閉作業を行った。
解答:誤り 複数名で操作できるように柄の長いハンドル廻しを → 適切な長さのハンドル廻しを
解説:複数名で操作する場合にバルブに過大なトルクを与える可能性があるため、長すぎても良くありません。
重要:ハンドル廻しに関する問題は過去に5回出題されてます。
問12.液化ガス配管の弁の閉止手順として、払出し元の出口弁を閉止した後に、払出し先設備の入口弁を閉止することと定めた。
解答:正しい
解説:液化ガスが配管に貯まって、温度上昇によって膨張し圧力が上昇することで破損することを防がなければなりません。また、順序を逆にする場合、配管途中に安全弁を設置する等の方法があります。
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