高圧装置 練習問題・演習問題 乙種機械 学識

高圧装置の過去問傾向

 高圧装置については、乙種機械の学識にて近年、毎年出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。下記表の通り、9項目が複数回出題されています。出題範囲が広い分野ですが、実際の出題としては偏りが見られる分野です。出題傾向の急な変更に気をつけながら、出題の多い問題を中心に覚えたい分野です。

項目出題数
熱交換器8
蒸留塔6
コールドスプリング4
プレート式熱交換器4
二重殻式平底円筒形貯槽4
二重殻式円筒形貯槽4
流動床反応器4
水素・毒性ガスの配管2
水素化脱硫反応器2
その他10

練習問題

 ここでは、SI単位分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~7は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問8~12は過去に1度出題されたことのある内容に関する問題です。問13~は過去に出題されたことない問題ですが、重要と思われる内容に関する問題です。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.温かい流体から冷たい流体へ熱を移動させる機器を何というか。

解答:熱交換器

問2.複数の板状のヒート交換部材を組み合わせて構成され、熱を移動させる機器を何というか。

解答:プレート式熱交換器

問3.二重殻式円筒形低温貯槽の内槽と外槽の間に入れるものを答えよ。

解答:パーライト

問4.二重殻式平底円筒形低温貯槽の内槽に取り付けるものを2つ答えよ。

解答:グラスウール、スティフナ

問5.配管組み立て時に熱膨張と反対向きにあらかじめ荷重を掛けて使用することで運転時の最大変位を減少させる方法を何というか。

解答:コールドスプリング

問6.多成分系の原料から蒸気留分と残留液に分離する装置を何というか。

解答:蒸留塔

問7.触媒が可動可能な反応器を答えよ。

解答:流動床式反応器

問8.円錐型の弁を上下させることによって開閉し、中を通る流体の量を調整するのに優れている弁を何というか。

解答:玉型弁、ストップバルブ、グローブ弁

問9.円錐形のプラグに楕円形の孔をあけて、ハンドルの90度回転により流体の流れを全開全閉するようになっている構造の弁を何というか。

解答:プラグ弁

問10.圧力容器・ボイラ・機器・配管などの異常圧力による事故を未然に防止するを何というか。

解答:安全弁

問11.配管を差し込んだ後、溶接する継手を答えよ。

解答:差込み溶接式継手

問12.触媒が動かない反応器を答えよ。

解答:固定床式反応器

問13.回分式とも言われる反応器を答えよ。

解答:バッチ式反応器

問14.2つ継手を同じ面で接合したものを答えよ。

解答:突合せ溶接式管継手

問15.部材と部材を接合するためのツバで、円盤の管継手を答えよ。

解答:フランジ

問16.流路がまっすぐで流路に対し直角に弁がゲートのように上下に動き開閉する弁を何というか。

解答:仕切弁、ゲート弁

問17.穴の空いたボールが流路に対して90度動くことで開閉できる弁を何というか。

解答:バタフライ弁

問18.バルブを90度回転することで開閉することができ、開度を調節することでの流量調整機能に優れている弁を何というか。

解答:ボール弁

問19.配管に流体が逆流しないようにする目的で使用され「チェックバルブ」とも呼ばれる弁を何というか。

解答:逆止弁、チャッキ弁

問20.横隔膜という意味を持ち、他のバルブと異なり、弁棒などの駆動部と流路が遮断されている弁を何というか。

解答:ダイヤフラム弁

演習問題

次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。

問1.球形貯槽は、天然ガスを貯蔵するのに使用できる。

解答:正しい
解説:球形貯槽はブタン、プロパン等の液化ガスの貯槽にも用いられる。

問2.二重殻式円筒形貯槽は、断熱材としてパーライトを用い、座屈防止ようにスティフナを取り付けた。

解答:正しい
解説:パーライトは時間経過ともに劣化し、沈降するため、内槽にグラスウールを用いることもある。
重要:二重殻式円筒形貯槽に関する問題は過去に4回出題されてます。

問3.二重殻式平底円筒形貯槽の基礎は地盤面上であれば、凍結することはない。

解答:誤り 凍結することはなし。→凍結する可能性がある。
解説:低温で使用することで地面上にある基礎が、凍結することで変形するため、電熱ヒーターを設置したり、不凍液を循環させることで凍結を防止します。
重要:二重殻式平底円筒形貯槽に関する問題は過去に4回出題されてます。

問4.横置円筒形貯槽は、鏡板を取り付けた圧力容器を横置きにしたもので、大容量の貯槽に使用される。

解答:誤り 大容量 → 小容量
解説:構造が単純で製作も容易です。

問5.完全溶込み溶接では、接続される管材料と同じ強度を持つことが可能で突き合わせ溶接の1つである。

解答:正しい
解説:突合せ溶接式管継手とは2つ継手を同じ面で接合したもので、完全溶込み溶接と部分溶込み溶接の2種類があります。

問6. 振動の起こる箇所に差込み溶接式管継手の使用を避けた。

解答:正しい
解説:腐食の厳しい箇所や温度変化が生じる箇所では突合せ溶接式継手の方が有効です。

問7.フランジ式管継手から漏えいすることはほとんどなく、取付けが容易である。

解答:誤り 漏えいするはほとんどなく→漏えいすることがある
解説:ボルトとナットで締め付けるため、容易に取り付けが可能です。一方で、漏れの原因ともなり得ます。

問8.コールドスプリングとは配管組み立て時に熱膨張と同じ向きにあらかじめ荷重を掛けて配管接続する方法である。

解答:誤り 同じ向き→反対方向
解説:最高運転温度における最大変位を軽減させる方法である。
重要:コールドスプリングに関する問題は過去に4回出題されてます。

問9.ホットボルティングは常温の配管から高温の運転条件になって配管が伸びたときに、ガスケットから液が漏れないように増し締めすることで、フランジのボルト締付けに用いられる。

解答:正しい
解説:ホットボルティングは高温(運転温度)で増し締めを行うが、加圧下では片締めになるため、大気圧まで戻してから増し締めを行う。

問10.高温になる配管系に、コーナーや伸縮ループを設けた。

解答:正しい
解説:熱伸縮の吸収対策として用いられます。

問11.安全弁の放出管で、曲りを少なくしたルート形状の配管設計とした。

解答:正しい
解説:放出時の衝撃による振動を防止するためには、曲がりが少ない方が良いです。

問12.仕切弁は、弁体を流路に対し90°Cに移動して開閉する構造であり、チャタリングが起こることがある。

解答:誤り 90°C→垂直
解説:「ゲート弁」とも呼ばれ、圧損が小さいがチャタリング起こすことがある。

問13.玉形弁は、遮断性が良いが、流量調整には用いられない。

解答:誤り 用いられない→用いられる
解説:玉型弁は円錐型の弁を上下させることによって開閉し、中を通る流体の量を調整するのに優れている。

問14.玉型弁は、ボール弁、バタフライ弁よりも全開時の圧力損失が大きい。

解答:正しい
解説:弁内部で流体の方向が変わるため、圧損が大きいです。

問15.ボール弁は、急な開閉が行える一方で、ウォータハンマの原因となり、流量調整が行いにくいバルブである。

解答:正しい
解説:穴の空いたボールが流路に対して90度動くことで開閉できる弁です。

問16.バタフライ弁は、流量調整が可能であるが高温・高圧の流体には適さない。

解答:正しい
解説:弁を90度回転することで開閉することができ、幅をとらないため、省スペースで設置可能です。

問17.逆止弁は配管に流体が逆流しないようにする目的で使用される。

解答:正しい
解説:「チェックバルブ」とも呼ばれます。

問18.吸着塔は、オルト、メタ、パラのパラキシレン等異性体を分離できない。

解答:誤り 分離できない。 → 分離できる。
解説:吸着塔は、特定の物質を分離する際に用いられます。

問19.固定床管式反応器は、触媒が固定されているため、有効触媒量を大きくとることができる。

解答:誤り できる。 → できない。
解説:触媒の損耗が少なく、触媒の形状、大きさを自由に選択できる反応器です。

問20.流動床式反応器のライザが低温のため炭素鋼の内面にコールドウォール構造とした。

解答:正しい
解説:高温になる場合は、断熱キャスタブルを施したホットウォール構造を用います。
重要:流動床式反応器に関する問題は過去に4回出題されてます。

問21.蒸留塔では、液と蒸気を効率よく接触させるために、内部にトレイを設置するので、充てん物は入れない。

解答:誤り 入れない。 → 入れることもある。
解説: 蒸留塔内部に置かれる充てん物は、表面積が大きいものを選択することで液と蒸気の気液接触が行いやすくします。
重要:蒸留塔に関する問題は過去に6回出題されてます。

問22.プレート式熱交換器のプレート上の波形は、プレート強度を増す効果がある。

解答:正しい
解説:流体を渦流にして伝熱を良くしたり、伝熱面積を増す等の効果もあります。
重要:プレート式熱交換器に関する問題は過去に4回出題されてます。

問23.プレート式熱交換器は、熱伝達率が大きく、同じ伝熱量では多管円筒形に比べて大型になる。

解答:誤り 大型になる。 → 小型になる。
解説:圧力損失が大きく、清掃が容易です。
重要:プレート式熱交換器に関する問題は過去に4回出題されてます。

問24.熱交換器は、汚れやスケールによる伝熱係数の低下によって伝熱面積が狭まる。

解答:正しい
解説:熱交換器の設計にあたっては、あらかじめ汚れの程度を想定する必要があります。
重要:熱交換器に関する問題は過去に8回出題されてます。

問25.汚れ係数は、熱交換器の伝熱面に汚れやスケールが付着したときの伝熱抵抗を示す値を表すものである。

解答:正しい
解説:汚れ係数は、伝熱係数の逆数[m2・K/W]で表す。
重要:熱交換器に関する問題は過去に8回出題されてます。

nerima9worker

高圧ガス製造保安責任者試験の研究をしているガス+α 産業ガスの会社に勤務している現役のエンジニアです。 2022年1月から高圧ガスの試験問題・検定問題を研究しています。 平成25年(2013年)の問題から現在までの出題傾向を踏まえオリジナルの類題を掲載しています。

Recent Posts

化学反応式 乙種化学 学識

化学反応式の係数を求める問題 …

1か月 ago

ガスの種類 乙種化学 学識

ガスの性質による分類 ガスの分…

1か月 ago

熱力学・気液平衡の計算 乙種化学 学識

熱容量、比熱容量 熱容量とは、…

1か月 ago