貯槽・管継手・弁・反応器 乙種化学・乙種機械 保安管理

貯槽

 ①球形貯槽

  天然ガス、都市ガス、プロパン、ブタン等を常温高圧(常圧)で大量保存するのに用いられています。

  

 ②二重殻式円筒形低温貯槽

 低温で貯蔵するため、二重になっており、内側を内槽、外側を外槽と言います。保冷・断熱材としてパーライト※1が用いられ、内槽と外槽に入れられます。パーライトは温度変化、時間経過とともに劣化し次第に沈降するため、内槽にグラスウールの緩衝材や座屈※2防止用のスティフナ※3を取付けます。
一般的には、内側にオーステナイトステンレス鋼、外側には炭素鋼が用いられます。

※1 火山活動で噴き出した溶岩です。きわめて軽量で断熱性、保温性がよく吸水性に優れています。
※2 上から荷重を加えた際、ある一定の荷重を超えると急に部材にたわみが生じる現象を言います。
※3 補強用のプレートのことです。

 ③二重殻式平底円筒形低温貯槽

  二重殻式円筒形低温貯槽と同様に内槽と外槽の間にパーライトが用いられます。
低温で使用することで地面上にある基礎が、凍結することで変形するため、電熱ヒーターを設置したり、不凍液を循環させることで凍結を防止します。

管継手

1.種類

固定式管継手

可動式管継手

 例:ベローズ形伸縮管継手、滑り伸縮型管継手

2.接続方式による分類

フランジ

 フランジは下図のようにボルトとナットで締め付けるため、容易に取り付けが可能です。一方で、漏れの原因ともなり得ます。

 

差込み溶接式管継手
  差込み溶接式管継手とは配管を差し込んだ後、溶接する継手です。強度は突合せ溶接式管継手より劣ります。溶接部に振動等によって応力の集中が懸念される箇所では破断する恐れがあるため、使用を避けます。
突合せ溶接式管継手
 突合せ溶接式管継手とは2つ継手を同じ面で接合したものです。溶接箇所の結合力が強いため強度が強くなり熱伸縮の大きい蒸気配管によく用いられます。完全溶込み溶接と部分溶込み溶接の2種類があり、完全溶込み溶接では、接続される管材料と同じ強度を持つことが可能です。一方で、施工が難しい溶接です。

管継手・配管の接続

1.熱による膨張・伸縮対策
 配管・継手には熱によって膨張・伸縮することで破断することがあります。
 コールドスプリング・・配管組み立て時に熱膨張と反対向きにあらかじめ荷重を掛けて使用することで運転時の最大変位を減少させる方法です。

2.振動に対する対策
 加振源となる機械の周波数と配管内のガスや液体と共鳴周波数が一致すると、気柱振動※1を起こします。機械固有の振動は配管との共振を防止するため、サポートによる支持を追加したり、固定バンドによって固定することで、配管の劣化を防ぐ必要があります。
圧力変化(圧力脈動)を防ぐには、配管長さの変更やオリフィス挿入による流量変更が有効です。
※1 気柱振動・・・気柱とは管の中の柱状の気体のことであり、これが振動する現象のこと。

3.地震に対する対策
 高圧ガス設備に対する耐震対策は経済産業省告示第220号 高圧ガス設備等の耐震性能を定める告示【耐震告示】で定められています。耐震設計構造物の設置地点において想定される最大級の地震動に対して、設備の影響度によってⅠa、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに分けられる。

4.緩みへの対策
 バルブや継手は使用状況、時間経過により、緩みことがあり、それにより漏えいの原因となる。
ホットボルティング・・・設備を稼働させ、ガスが配管中を通ると使用中の配管等の温度が上昇することがある。フランジの接続等は昇温されていない状態で行うため、温度が上昇した際にボルトが緩む可能性がある。運転開始時の昇温中に増し締めを行うことを言う。

弁(バルブ)

 弁(バルブ)は多くの種類があり、それぞれに特徴があり、使用目的によって使い分ける必要があります。

仕切弁・・・流路がまっすぐで流路に対し直角に弁がゲートのように上下に動き開閉する弁です。圧力損失が小さく、全開または全閉の状態で使用するのには適していますが、開度の調節には向きません。チャタリング※1等のトラブルを起こします。
※1 可動接点などが接触状態になる際に、微細な非常に速い機械的振動を起こす現象

玉型弁・・・円錐型の弁を上下させることによって開閉し、中を通る流体の量を調整するのに優れています。流体の遮断性が高いため「ストップバルブ」とも呼ばれ、また「グローブ弁」とも呼ばれます。一方で、圧力損失※2を生じやすいです。
※2 流体が配管などを通る際に失う圧力低下、流量低下、流速減少のことを言います

ボール弁・・・穴の空いたボールが流路に対して90度動くことで開閉できる弁です。急な開閉が行える一方で、ウォータハンマの原因となります。流量調整が行いにくいです。

バタフライ弁・・・弁を90度回転することで開閉することができ、開度を調節することでの流量調整機能に優れています。また、幅をとらないため、省スペースで設置可能ですが、高温・高圧の流体には不向きです。

逆止弁・・・配管に流体が逆流しないようにする目的で使用され「チェックバルブ」とも呼ばれます。

ダイヤフラム弁・・・ダイヤフラムは横隔膜という意味で、他のバルブと異なり、弁棒などの駆動部と流路がダイヤフラムで遮断されているので、外部に漏れることがありません。温度条件に制限があり、高圧の流体には不向きです。

反応器

バッチ式反応器
  回分式とも言われ、投入、反応、回収等の各工程が分かれて、それらをセットとして回数として数えられる反応器のことを言います。反応操作が連続的に出来ない場合や小容量を取り扱う装置に用いられます。
連続反応式
1.固定床式反応器
 触媒が固定された層にあり、気体・液体を流して反応させる装置。触媒が固定されているため、触媒の損耗が少なく、触媒の形状、大きさを自由に選択できる。充填された触媒の層が長くなる場合、触媒を分割して再分散器を設けます。これにより触媒と均一に反応するようにします。総発熱量が多い場合も触媒を分けることで均一に反応させたり、クエンチ用流体を入れることで反応温度を操作しています。
代表例:水素化精製(水素化脱硫)装置、水素分解装置

2.流動床式反応器
 反応物を含む流体に触媒を浮遊させて触媒を流体のように混合させて反応を行う反応器を言います。触媒の再生塔を併設することで連続して反応を行うことが可能です。
代表例:流動接触分解(FCC:Fluid Catalytic Cracking、重質油を分解→ガソリン生成)

3.菅式反応器
 構造が管であるため、滞留時間が短く、反応性(反応速度)が高い場合に用いられる。
代表例:管式加熱炉(ナフサ・天然ガスの熱分解→エチレン、プロピレンの生成)

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