流動・伝熱・分離 練習問題・演習問題 乙種化学・乙種機械 保安管理

流動・伝熱・分離の過去問傾向

 流動・伝熱・分離については、乙種化学の保安管理技術にて出題される分野で、乙種機械の保安管理技術では出題されません。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。流動・伝熱・分離に関しては11項目出題されており、一見幅広く出題されているように思えます。しかしながら、1回しか出題されていない問題は5問であり、11項目から出題されていることが多いことわかります。そのため、11項目をしっかりと覚えることが重要です。

項目出題数
ガス吸収6
層流5
エネルギー5
蒸留5
膜分離5
対流伝熱4
吸着4
熱伝導3
乱流2
ベルヌーイの定理2
熱交換器2
その他5

練習問題

 ここでは、流動・伝熱・分離における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~11は過去に2回以上出題された内容に関する内容です。問12~15は過去に1度出題された問題に関する内容です。問16以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.不規則な変動を含まない定常な流れを何というか。

解答:層流

問2.流体の速度や圧力などが不規則に変動する流れを何というか。

解答:乱流

問3.気体原料と液体分離剤を接触させ、気体の溶解性の違いを利用して、溶質ガスを液体へ移動させる操作を何というか。

解答:ガス吸収

問4.温度一定で流れている非圧縮性流体が保有する運動エネルギー、位置エネルギー、圧力エネルギーが保存されるとされる定理名を答えなさい。

解答:ベルヌーイの定理

問5.2つの混合液体を沸点の違いを利用して分離する方法を何というか。

解答:蒸留

問6.固体または静止している流体の内部において高温側から低温側へ熱が伝わる伝熱現象を何というか。

解答:熱伝導

問7.固体と流体間の熱移動を何というか。

解答:対流伝熱

問8.非圧縮性流体の保有するエネルギーを3つ答えよ。

解答:運動エネルギー、位置エネルギー、圧力エネルギー

問9.膜材に対する特定成分の透過性の違いによる分離法を何というか。

解答:膜分離

問10.吸着質分子が吸着剤表面の原子とファンデルワールス力、静電気力あるいは水素結合によって吸着剤に付着する吸着を何というか。

解答:物理吸着

問11.熱貫流を利用した装置を何というか。

解答:熱交換器

問12.放射伝熱のエネルギーEを式で表しなさい。

解答:E = σT4 (σ:ステファンボルツマン定数、T:温度)

問13.熱を持った物質から電磁波として熱が放射される現象を何というか。

解答:放射伝熱

問14.流量の調節や測定に用いる薄い壁にあけた流体の流れ出る穴を利用した流量計を何というか。

解答:オリフィス流量計

問15.U字型の管に液体を入れ圧力差を測定するものを何というか。

解答:マノメータ―(U字管圧力計)

問16.同一物質内における熱移動を何というか。

解答:伝導伝熱

問17.固体壁で隔てられた温度の異なる2つの流体間の熱の移動を何というか。

解答:熱貫流

問18.Re(レイノルズ数)>4,000および2,100<Re(レイノルズ数)のながれをそれぞれ答えなさい。

解答:乱流、層流(左から順に)

問19.管摩擦係数を用いて、層流の式を表しなさい。

解答:f = 16/Re (f:管摩擦係数、Re:レイノルズ数)

演習問題

次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。

問1.管内を流れる流体が持つ機械的エネルギーには、運動エネルギー、位置エネルギーおよび圧力エネルギーがある。

解答:正しい
解説:理想流体の定常流では上記のエネルギーが保存される。
重要:エネルギーに関する問題は過去に5回出題されてます。

問2.オリフィス流量計は、ベルヌーイの定理を応用している。

解答:正しい
解説:ベルヌーイはピトー管、オリフィス流量計、ベンチュリ流量計での測定原理で用いられている。
重要:ベルヌーイの定理に関する問題は過去に5回出題されてます。

問3.レイノルズ数(Re)は、単位をもたない数であり、円管内流れでレイノルズ数が1000であれば乱流である。

解答:誤り 層流→乱流
解説:2,100<Re(レイノルズ数)は層流、2,100<Re<4,000の間は遷移域、Re(レイノルズ数)>4,000は乱流。

問4.層流では、管摩擦係数はレイノルズ数により規定され管壁面の粗さに関係ない。

解答:正しい
解説:層流の管摩擦係数は式:f = 16/Re (f:管摩擦係数、Re:レイノルズ数)で表される。
重要:層流に関する問題は過去に5回出題されてます。

問5.乱流の速度分布は放物線状である

解答:誤り 放物線状→ほぼ一様
解説:層流の速度分布は放物線状であり、平均流速は円管内中心速度の1/2である。
重要:乱流に関する問題は過去に2回出題されてます。

問6.流体内部の温度差により流体内に流れが生じ、熱移動が起こる現象は自然伝導伝熱である。

解答:誤り 自然伝導伝熱→自然対流伝熱
解答:固体と流体間の熱移動を対流伝熱と言います。
重要:対流伝熱に関する問題は過去に4回出題されてます。

問7.熱伝導率は、金属、気体、液体の順に小さくなる。

解答:誤り 気体、液体→液体、気体
解答:熱は気体<液体<固体の順で伝わりやすく、固体である金属は熱伝導率が一番高いです。

問8.熱を伝える媒体を必要とせず直接熱が移動する現象は熱伝導である。

解答:誤り 熱伝導→放射伝熱
解説:放射伝熱は、熱を持った物質から電磁波として熱が放射される現象で、媒体を必要とせず、真空中でも起こります。
重要:熱伝導に関する問題は過去に5回出題されてます。

問9.ウレタンフォームやグラスウールは、熱伝導率が高い。

解答:誤り 高い→低い
解説:ウレタンフォームやグラスウールは断熱材として用いられる。

問10.空気や水などの流体がファンやポンプにより強制的に駆動されて流動して起こる熱伝達は強制対流伝熱である。

解答:正しい
解説:強制対流熱伝達とは、流体がファンやポンプにより強制的に駆動されて流動している場合、物体表面から流体への熱伝達を言います。

問11.混合ガスからある成分を、液体に吸収させる操作をガス分離という。

解答:誤り ガス分離→ガス吸収
解説:気体の溶解性の違いによって混合気体から分離する方法をガス吸収と言います。

問12.二酸化炭素(CO2)や硫化水素(H2S)を反応吸収する装置では、ガスを吸収した溶液を加熱することでCO2やH2Sを放出する。

解答:正しい
解説:反応吸収する装置を吸収塔といい、加熱によって吸収したガスを放出することで再度利用することが可能です。

問13.ガス中の特定成分を液体に吸収させる場合、ガスの溶解度は、その物質の気相分圧が高いほど、また温度が低いほど増加する。

解答:正しい
解説:ガスの溶解度は気相分圧が高いほど、温度が低いほど増加し、これをヘンリーの法則と言います。

問14.物理吸収による溶質ガスの吸収速度を大きくする場合、吸収塔の操作温度を下げる。

解答:正しい
解説:物理吸収による溶質ガスの吸収速度を大きくするには、高圧で行うことも有用です。
重要:物理吸収に関する問題は過去に5回出題されてます。

問15.吸着塔の圧力を操作することで分離する化学吸着は、PSAという。

解答:誤り 化学吸着→物理吸着
解説:PSAではPressure Swing Sdsorptionの略で、極性ガスであるCO、CO2、H2Oはゼオライトや活性炭に吸着する

問16.一般に液体混合物を沸点の違いによって分離する方法を蒸留と言い、高沸点物質を液体中に濃縮する。

解答:正しい
解説:蒸留では低沸点物質は蒸気中となり、その蒸気を冷やすことで液体として分離します。
重要:蒸留に関する問題は過去に5回出題されてます。

問17.常温、常圧で気体である混合物を加圧するまたは温度を下げて液体にすれば、蒸留を用いて分離することが可能である。

解答:正しい
解説:加圧、温度を下げて空気から酸素、窒素を分離することができます。

問18.蒸留では高純度の物質を大量に分離することができる。

解答:正しい
解説:粗分離も可能です。

問19.非多孔質による気体の分離は透過速度が大きく、透過係数が大きいと分離が可能である。

解答:正しい
解説:気体の分離は透過速度および透過係数が大きい必要があります。

問20.気体の膜分離では中空糸型が用いられる。

解答:正しい
解説:膜モジュールには、他に平膜型、スパイラル型があります。
重要:膜分離に関する問題は過去に5回出題されてます。

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