材料 練習問題・演習問題 乙種化学・乙種機械 保安管理

材料の過去問傾向

 材料については、乙種化学、乙種機械ともに保安管理技術にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。材料に関しては12項目出題されているため、時間がない方は、飛ばすことをお勧めします。しかしながら、ガスの性質と比べ、出題数の多い問題もあり、いくらか傾向が見られます。そのため、出題回数の多い問題についてはしっかりと覚え、幅広く学習することが重要な分野と思います。

項目出題数
炭素鋼のさびこぶ6
クロムモリブデン鋼4
エロージョン・コロージョン4
行き止まり配管4
電気防食3
低温脆性3
コンクリート3
銅合金3
雨水3
塩化物環境2
エロージョン2
亜鉛2
その他9

練習問題

 ここでは、ガスの性質分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~12は過去に2回以上出題された内容に関する内容です。問13~15は過去に1度出題された問題に関する内容です。問16以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
 次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。

問1.炭素鋼の水配管の内面にさびこぶ(こぶ状のかさの高いさび)が生じると何が進行するか。

解答:腐食

問2. 高温高圧の水素ガス配管の材料として用いられる材料は何か。

解答:クロムモリブデン鋼

問3.金属が科学的な作用を受け、表面から劣化(変質)していく現象のことを何というか。

解答:コロージョン

問4.配管のデッドエンドを何というか。

解答:行き止まり配管

問5.金属に電気を流すことで、腐食の起こらない防食電位に変化させる防食法を何というか。

解答:電気防食

問6.金属が常温以下の低温環境下において伸び、絞り、衝撃値が急激に減少し、もろくなることを何というか。

解答:低温脆性

問7.コンクリートは何性のため、不働態被膜を形成するのか。

解答:アルカリ性

問8.アンモニア溶液の冷却を行う熱交換器のチューブに用いられるのは何の合金が用いられるか。

解答:銅合金

問9.機器の保温材に雨水が浸入すると、保温材下の機器の何の原因になるか。

解答:外面腐食

問10.オーステナイトステンレス鋼の応力腐食割れやステンレス鋼に孔食が起こるのはどのような環境か。

解答:塩化物環境

問11.材料に固体、液体および気体によって機械的力が繰り返し与えられることによって材料表面が変形・劣化し、少しずつ材料が離脱することで減肉を生じさせる現象を何というか。

解答:エロージョン

問12.黄銅の成分であり、PH13以上で腐食する金属は何か。

解答:亜鉛

問13.結晶粒界にクロム炭化物が析出することにより、結晶粒界に沿ってクロム濃度が低下して粒界腐食しやすくなる状態を何というか。

解答:鋭敏化

問14.金属材料の結晶粒界だけが選択的に腐食する現象を何というか。

解答:粒界腐食

問15.炭素鋼は、高温高圧でアンモニアの生成および分解が生じる条件で、起こりやすい脆化は何か。

解答:水素脆化

問16.腐食環境にさらされている全表面がほぼ均一に腐食することを何と言うか。

解答:均一腐食

問17.酸素濃度の差によって起こる腐食で、通気差電池を形成した環境で、起きる腐食を何というか。

解答:通気差腐食

問18.表面が局部的に点、または孔状に深く侵食される現象を何というか。

解答:孔食

問19.引張応力を受けている金属や合金が、その応力が引張強さ以下であっても、時間の経過によって起こる現象を何というか。

解答:応力腐食割れ

問20.電解液のような腐食環境下で異なる種類の金属が接触し電子電導したときに、片方の金属の腐食が促進される現象を何というか。

解答:異種金属腐食

問21.亜共析鋼ではオーステナイト域、過共析鋼では共析変態温度以上に加熱し、炉冷する操作を何というか。

解答:焼きなまし 焼鈍(しょうどん)とも呼ばれ、鋼を柔らかくする操作です。残留応力の除去、硬度の低下、加工性の改善等を目的に行います。

問22.オーステナイト域に加熱した後、静かな大気で空冷する操作を何というか。

解答:焼きならし 焼き入れに比べて冷却速度は遅く、炭化物の調整、内部応力の除去を目的として行います。結晶が微細化することで靭性を主体とした機械的性質が改善される

問23.亜共析鋼ではオーステナイト域、過共析鋼では共析変態温度以上に加熱し後、急冷し硬化する処理を何というか。

解答:焼き入れ 硬化を目的として行います。

問24.焼入れした鋼を共析変態温度以下の領域で再加熱し冷却する操作を何というか。

解答:焼きもどし 硬度の調整、靭性のカイゼン、内部応力の除去等を目的として行います。

問25.靭性(低温脆性)を評価する代表的な試験

解答:シャルピー衝撃試験

演習問題

次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。

問1.炭素鋼は炭素量が増加するにつれて、伸び、絞り、靭性が大きくなる。

解答:誤り 大きくなる。→小さくなる。 
解説:炭素鋼において炭素の量が増加すると引張強さや降伏点が大きくなり、伸び、絞り、靭性は小さくなる。

問2.銅・銅合金は熱伝導性が良いため、熱交換器の管材料としても用いられる。

解答:正しい 銅および銅合金は熱伝導性、加工性、耐食性に優れている。
解説:銅および銅合金は熱伝導性、加工性、耐食性に優れています。また、アンモニアの熱交換器チューブ等に用いられます。
重要:銅・銅合金に関する問題は過去に3回出題されてます。

問3.アセチレン容器の材質に銅を用いることができる。

解答:誤り 用いることができる。→用いることができない。 
解説:アセチレンは銅と反応し銅アセチリドを生成する。 

問4.復水器の管材料として黄銅を用いた。

解答:正しい 
解説:黄銅は銅と亜鉛の合金でアルミニウムを添加すると耐食性に優れるため、復水器の管材料として用いられる。

問5.炭素鋼は面心立方格子を有するため、低温脆性を示さない。

解答:誤り ①炭素鋼→アルミニウムorオーステナイトステンレス鋼 ②面心立方格子→体心立方格子and低温脆性を示さない。→低温脆性を示す。 
解説:アルミニウム、オーステナイトステンレス鋼は結晶構造が、面心立方格子のため、低温脆性を示さない。
重要:低温脆性に関する問題は過去に3回出題されてます。

問6.クロム(Cr)ーモリブデン(Mo)鋼は高温高圧下における水素浸食への抵抗性が弱い。

解答:誤り 弱い。→強い。 
解説:クロム(Cr)-モリブデン(Mo)鋼は高温高圧下において水素浸食への抵抗性が強いです。
重要:クロムモリブデン鋼に関する問題は過去に4回出題されてます。

問7.炭素鋼の配管内部に錆(さび)こぶが発生すると、その下へ錆が侵食し、はがれると孔食となることがある。

解答:正しい 
解説:錆こぶの下へはその錆こぶが邪魔になりその下の鋼材に 酸素の供給が少なくなり、『マクロ腐食電池』が形成されることにより、腐食されることがあります。
重要:炭素鋼のさびこぶに関する問題は過去に6回出題されてます。

問8.アンモニアの配管材として銅を用いれる。

解答:誤り 用いれる。→用いれない。 
解説:銅はアンモニアによって腐食されるため使用するのは不適切である。

問9.オーステナイトステンレス鋼は使用環境によって粒界腐食、孔食、応力腐食割れを起こすことはないステンレスである。

解答:誤り 起こすことはない→起こすことのある

問10.乾燥した塩素ガスの熱交換器の伝熱管にチタン合金を用いることは可能である。

解答:誤り 可能である。→可能ではない。 
解説:チタン・チタン合金は乾燥した塩素ガスによって腐食される。

問11.海水中の鉄筋は、表面に不動態皮膜を形成するため、耐食性を示す。

解答:誤り ①海水中→コンクリート中②不導体被膜を形成する→不導体被膜を形成しないand耐食性を示す。→耐食性を示さない。
解説:コンクリートはアルカリ性です。
重要:コンクリートに関する問題は過去に3回出題されてます。

問12.SUS304L、SUS316Lは耐粒界腐食性を改善するために、C量を低減したステンレス鋼である。

解答:正しい 
解説:末尾のLはLow carbonの略である。

問13.ライニング材にガラスのフレークを混入させることで耐食性を向上させ、損傷を防止することができる。

解答:正しい

問14.11%以上のクロムを有するステンレス鋼は不導体被膜を形成するが、鋭敏化によって耐食性を失う。

解答:正しい 
解説:ステンレス鋼をある温度以上で一定時間以上加熱すると炭素がクロムと反応し、炭化クロムが析出する。これにより、不動態被膜を形成するのに必要なクロムの量が必要濃度以下となり耐食性を失うことを鋭敏化という。

問15.アンモニアの合成装置にSUS304を使用することができる。

解答:正しい 
解説:アンモニア合成で窒化の起こる箇所にはSUS304が使用される。

問16.土壌埋設パイプラインや海洋構造物の水没部への防食としてカソード防食を用いた。

解答:正しい 
解説:カソード防食は電気防食法の1つであり、土壌埋設パイプラインや海洋構造物の水没部への防食として用いられる。

問17.流電陽極法は1箇所の陽極から広範囲の防食が可能である。

解答:誤り 流電陽極法→外部電源法 
解説:流電陽極法(犠牲陽極法)は十分な電流が届く距離が短いため、多くの陽極を配置する必要がある。

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