計測機器の過去問傾向
計測機器については、乙種化学、乙種機械ともに保安管理技術にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。計測機器に関しては15項目出題されているため、一見暗記内容が多いように思えます。しかしながら、温度計、流量計、圧力計、液面計と特徴が多い分野です。出題回数の多い問題についてはしっかりと覚えれば、正解しやすい分野だと考えます。
項目 | 出題数 |
オリフィス流量計・ベンチュリ流量計 | 6 |
フェール・セーフ | 4 |
バイメタル式温度計 | 3 |
フール・プルーフ | 3 |
ブルドン管 | 3 |
隔膜式圧力計 | 3 |
微分 | 3 |
ゲージグラス | 3 |
タービン式流量計 | 2 |
ディスプレーサ式液面計 | 2 |
フィートバック制御 | 2 |
抵抗温度計 | 2 |
電磁流量計 | 2 |
熱電対温度計 | 2 |
容積式流量計 | 2 |
その他 | 6 |
練習問題
ここでは、ガスの性質分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~15は過去に2回以上出題された内容に関する内容です。問16~20は過去に1度出題された問題に関する内容です。問21以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。
問1.流量の調節や測定に用いる薄い壁にあけた流体の流れ出る穴のことを何というか。
解答:オリフィス
問2.測定管(テーパ管)内に自由に昇降できるフロートを収め、それを適当な支持具で組立てたものを何というか。
解答:面積流量計
問3.流路の中にロータを設け、流速にほぼ比例した速度で回転します。これを測定することで流量を測定する流量計は何というか。
解答:タービン式流量計
問4.ファラデーの電磁誘導を利用して検出する流量計を何というか。
解答:電磁流量計
問5.2種類の胴体を電気的に接続し、回路を作り、2つの接合点の温度が異なるようにすると、この回路には両端の温度差に比例した熱起電力が生じることで測定する温度計を何というか。
解答:熱電温度計
問6.熱膨張率の異なる2種類の薄い金属を貼り合わせ、温度が上昇すると熱膨張率の小さいへ曲がることで測定する温度計を何というか。
解答:バイメタル式温度計
問7.金属にある電気抵抗が温度上昇とともに変化することを利用した温度計を何というか。
解答:抵抗温度計
問8.断面が扁平な楕円形の金属管があり、圧力を加えると、管が変形し、その変位量を読み取ることで測定する圧力計を何というか。
解答:ブルドン管
問9.ガラスを通して液面を直接見れる液面計を何というか。また、その液面計を2種類答えよ。
解答:ゲージグラス、透視式と反射式
問10.圧力を受ける部分に隔膜が取り付けられた圧力計を何というか。
解答:隔膜式圧力計
問11.ディスプレーサ(液体を排除するもの)を液中に浸した際、浮力によって変動することを利用して測定する液面計を何というか。
解答:ディスプレーサ式液面計
問12.偏差の生じる速さに比例し操作量を変化させ、偏差が大きくなるのを未然に防ぐ動作を何というか。
解答:微分動作
問13.プロセスに外乱が入った場合に、その外乱が検出できるならその影響が制御量に現れる前にそれを打ち消す操作を加え、外乱からの制御量への影響を未然に防ぐものを何というか。
解答:フィードバック制御
問14.人為的に不適切な操作および過失を犯さないよう機器に対して配慮することと仮にミスを犯しても機器の安全を保持することを何というか。
解答:フェール・セーフ
問15.機器・設備に異常および故障が生じたときでも、装置が安全な状態になるよう設計上考慮することを何というか。
解答:フール・プルーフ
問16.回転子などの可動部とそれを包むケースとの間に形成される一定容積の空間部を升としてその中に流体を充満させて、それを連続的に流出口へ送り出すことで測定する流量計を何というか。
解答:容積式流量計
問17.ある一定の条件が整わないと他の動作ができなくなるような機構のことを何というか。
解答:インターロック
問18.1つの調節計の出力地により他の調節計の目標値を制御する方法を何というか。
解答:カスケード制御
問19.目標値と制御量の差である制御偏差を打ち消すために行う制御装置の動作を何というか。
解答:制御動作
問20.生した差圧を空気圧信号あるいは電気信号の取り扱いやすい信号に変換し、受信計へ伝送することで測定する装置を何というか。
解答:差圧発信器
問21.水銀または有機液体の膨張を利用して測定する温度計を何というか。
解答:ガラス製温度計
問22.ベルヌーイの定理を利用した液面計を何というか。
解答:差圧式液面計
問23.タンクゲージを2種類答えよ。
解答:フロート式、ワイヤドラム式
問24.U字型のガラス管に液体を入れ、2箇所の液面高さの差から基準圧力との圧力差を測定することで対象の圧力を測定する圧力計を何というか。
解答:U字管圧力計(マノメータ―)
問25.負のゲージ圧力を測定することも可能な圧力計を何というか。
解答:連成計
演習問題
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.オリフィス流量計は、ベンチュリ流量計に比べ圧力損失が大きく、構造上沈殿物が溜まりやすい。
解答:正しい
解説:オリフィス流量計はその構造から圧損が大きく、オリフィスの穴に沈殿物が溜まりやすい。
重要:オリフィス流量計に関する問題は過去に6回出題されてます。
問2.電磁流量計は、導電性の流体の測定は可能であるが、腐食性液体の測定には用いることができない。
解答:誤り 用いることができない。→用いることができる。
解説:電磁流量計は電磁流量計は、測定流体が導電性の流体ある必要があるが、混入物を含む液体、腐食性液体の測定にも可能である。
重要:電磁流量計に関する問題は過去に2回出題されてます。
問3.容積式流量計は、異物を含む流体の場合に用いることができる。
解答:誤り 異物を含む→異物を含まない or 用いることができる。→用いることができない。
解説:容積式流量計は回転子があるため異物を含む流体の測定には適さない。流量の大きいものから小さいものまで高い精度で測定が可能である。
重要:容積式流量計に関する問題は過去に2回出題されてます。
問4.タービン式流量計は、高粘度液体の流量計として利用できる。
解答:誤り 高粘度→低粘度 or 利用できる。→利用できない。
解説:タービン式流量計は比較的高い精度のため、水道メーターとして用いられ、また、保守点検が行いやすいです。一方で、高粘度流体の測定にはあまり適さず、低粘度流体の測定に用いられます。
重要:タービン式流量計に関する問題は過去に3回出題されてます。
問5.熱電温度計は、熱膨張率の異なる2種類の薄い金属を貼り合わせたものである。
解答:誤り 熱電温度計→バイメタル式温度計
解説:バイメタルのバイは英語でbiと書き、2つという意味を持ち、メタルの意味は金属です。『バイメタル』=『2つの金属』と覚えておけば、間違いにくくなります。
重要:バイメタル式温度計に関する問題は過去に3回出題されてます。
問6.ゼーベック効果を利用した温度計は熱電温度計である。
解答:正しい
解説:ゼーベック効果とはある物質の両端に温度差を与えると その両端間に電位差(起電力)が生じることを言います。この熱起電力を利用して測定する温度計を熱電温度計と言います。『熱電温度計』=『2種類の導体による熱起電力』と覚えてください。2つの金属ではありません。
問7.白金-ロジウムの熱電対を用いた温度計は1000°C以上の高温でも用いることができる。
解答:正しい
解説:熱電対が白金-ロジウムは1400°C程度、クロメル(ニッケルとクロムの合金)-コンスタンタン(銅とニッケルの合金)は1000°C程度、銅-コンスタンタンは300℃程度で用いられる。
重要:熱電対温度計に関する問題は過去に2回出題されてます。
問8.ガラスを通して液面を直接見れる液面計はゲージグラスと呼ばれ、透視式は透明な液体の液面測定に用いられる。
解答:誤り 透視式→反射式or透明な液体の液面測定に用いられる。→不透明な液体や2つの液体の界面の測定に用いられる。
解説:ゲージグラスは透視式と反射式があり、透視式は名称からすると透明な液体の液面測定に用いられそうであるが、不透明な液面測定に用いられる。
重要:ゲージグラスに関する問題は過去に3回出題されてます。
問9.ワイヤドラム式のタンクゲージはフロート式より精度が低いが、保守性が良い。
解答:誤り 低い→高い
解説:貯槽の液面計をタンクゲージと呼び、フロート式とワイヤドラム式の2種類がある。一般にワイヤドラム式の法がフロート式より精度が高く、保守性が良い。
問10.ディスプレーサ式液面計はディスプレーサに働く浮力が液面の変動によって変動することを利用したものであるため界面の測定には用いることができない。
解答:誤り 用いることができない。→用いることができる。
解説:内筒式とと外筒式があり、内筒式では、ディスプレーサを直接タンクに入れるのに対し、外筒式では、ディスプレーサを外筒に入れ、この外筒をタンクの側面に取り付けます。
重要:ディスプレーサ式液面計に関する問題は過去に2回出題されてます。
問11.ブルドン管圧力計は負のゲージ圧力まで測定可能で、その圧力計を連成計と呼ぶ。
解答:正しい
解説:ブルドン管の前面はガラスであるため、内圧を背面から開放し万一、高い圧力によって破裂した際にガラスが飛び散らないように安全窓が付いたものがあります。
重要:ブルドン管に関する問題は過去に3回出題されてます。
問12.隔膜式圧力計は、腐食性流体、高粘度流体などに用いることができる。
解答:正しい
解説:腐食性の強い流体、凝固しやすい流体、固形物が混ざった流体、高粘度の流体測定に適しています。
重要:隔膜式圧力計に関する問題は過去に3回出題されてます。
問13.計装機器ではフェール・セーフとして、緊急時のみに操作するスイッチにカバーを付けた。
解答:誤り フェール・セーフ → フール・プルーフ
解説:フェール・セーフは、機械が故障した際に安全な状態であるように設計することを言います。ヒューマンエラーの対策のことをフール・プルーフ(愚か者証明)と言います。
重要:フェールセーフに関する問題は過去に4回出題されてます。重要:フールプルーフに関する問題は過去に3回出題されてます。
問14.微分動作(D動作)とは、制御量が目標に対して大きいか小さいかによって、調整する制御動作である。
解答:誤り 微分動作(D動作) → オンオフ動作
解説:微分動作(D動作)とは、目標値に対する制御量の偏差の変化速度に正比例して操作量を変える制御動作です。
重要:微分動作に関する問題は過去に3回出題されてます。
問15.積分動作は、偏差の積分値の大きさに比例して、操作量を変化させる動作である。
解答:正しい
解説:通常は比例動作、微分動作と組み合わせて用いられます。
問16.フィードバック制御は予測制御の1つであり、目標値と制御量が一致した確認できない。
解答:誤り フィードバック制御 → フィードフォーワード制御
解説:フィードバック制御では、目標値と制御量の差に基づいて制御装置が判断し、操作量を変化させる。
重要:フィードバック制御に関する問題は過去に2回出題されてます。
問17.カスケード制御は、一つの制御装置の出力信号によって、他の多くの制御装置の目標値を変化させて行う制御である。
解答:正しい
解説:カスケードとは同じものが複数連なったものを言い、出力信号は1つです。
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