燃焼・爆発の過去問傾向
燃焼・爆発については、乙種化学、乙種機械ともに保安管理技術にて出題される分野です。2012年からの過去の12年分から出題傾向をまとめました。燃焼・爆発に関しての出題は幅広く、出題されているものの、頻繁に出題されている内容も見られます。頻出の内容はもちろんのこと、各項目に関する意味や特徴をしっかりと覚える必要があります。
項目 | 出題数 |
消炎距離 | 10 |
最小発火エネルギー | 6 |
爆発範囲 | 5 |
蒸気爆発 | 4 |
爆ごう | 3 |
不活性ガス | 3 |
粉じん爆発 | 2 |
化学量論組成 | 2 |
高温物体 | 2 |
分解爆発 | 2 |
その他 | 9 |
練習問題
ここでは、燃焼・爆発分野における基本的な用語や知識に関する問題を掲載しています。問1~10は過去に複数回出題された内容に関する内容です。問11~15は過去に1度出題された問題に関する内容です。問16以降は、出題されたことはないものの重要と思われる内容を記載しています。
次の各問について、適切な語句や意味を答えなさい。
問1.火炎が超音速で空間を伝播するもので、そのために衝撃波を伴う爆発は何と呼ばれるか。
解答:爆ごう 爆ごうは爆発範囲内の爆発である。
重要:爆ごうは3回ほど、出題されています。
問2.炭塵、小麦粉、プラスチックの粉、金属粉などの可燃性の細かい粉が空気中などに浮遊している状態で発火する爆発を何というか。
解答:粉じん爆発
重要:粉じん爆発は2回ほど、出題されています。
問3.空気や酸素などの支燃性ガスがなくても、単独のガスが発火により起す爆発を何というか。
解答:分解爆発
重要:分解爆発は2回ほど、出題されています。
問4.加圧化で加熱された状態の液体があるときに、容器が破れたりして圧力が急に解放されると、気液平衡がくずれて突沸状態になって液体が爆発的に蒸発することを何と呼ぶか。
解答:蒸気爆発 石油タンクの火災時に起こる蒸気爆発をBLEVEと言う。
重要:蒸気爆発の定義は過去4度ほど出題されています。
問5.一般に可燃性ガスにおいて、空気中と比較して酸素中では広くなるのは何か。
解答:爆発範囲
問6.火炎が通り抜けることのできる最小の隙間を何というか。
解答:消炎距離
問7.可燃性混合気を発火させるために与えるエネル ギーの最小値を何というか。
解答:最小発火エネルギー
問8.窒素、二酸化炭素等の爆発防止対策の効果があるのは何ガスか。
解答:不活性ガス
問9.可燃性混合ガスが接触すると、発火する物体はどういった物体か。
解答:高温物体
重要:高温物体は2回ほど、出題されています。
問10.可燃性ガスが発火するのに最小のエネルギーとなるのは、混合ガスがどういった比率の時か。
解答:化学量論組成
重要:化学量論組成は2回ほど、出題されています。
問11.可燃性の高圧ガスがノズルから噴出するときに発火した場合の原因は何か。
解答:静電気
問12.ガスが爆発する場合に必要なガス種を2つ答えよ。
解答:可燃性ガス、支燃性ガス
問13.点火源を液面に近づけたときに燃焼が始まる最低温度を何というか。
解答:引火点
問14.高圧設備のバルブを急激に開くと、高圧ガスの流入により下流のガスが名によって高温となり、発火するか。
解答:断熱圧縮
問15. 可燃性の液体が液滴状になって空気に浮遊している状態で発火し、起こる爆初を何というか。
解答:液滴噴霧の爆発
問16.火炎の伝播速度が音速以下の爆発を何と呼ぶか。
解答:爆燃
問17.拡散燃焼と予混合燃焼について説明しなさい。
解答:拡散火炎・・可燃性ガスと支燃性ガスが反応の場で混合しながら燃焼する
予混合火炎・・可燃性ガスと支燃性ガスがあらかじめ混合された状態で発火し燃焼する
問18.高圧のガスや液体などが空気中に勢いよく噴出しながらする燃焼は何と呼ばれるか。
解答:噴流火炎またはジェット火炎
問19.可燃性液体がプール状に溜まった状態にあり、その液面状で燃焼することを何と呼ぶか。
解答:プール火炎
問20.空気と混合した可燃性ガスor可燃性液体の蒸気、ミストor粉塵雲を伝播する燃焼を何と呼ぶか。
解答:伝播火炎
問21.大量に漏れ出した可燃性のガスなどに火がついて火炎となり、これが浮力によって空中に浮きあがり、大きな球になって燃えている火炎を何と呼ぶか。
解答:ファイアボール
問22.空気中に可燃性の液体の蒸気およびミストなどが白雲状に広がった状態で発火しお起こる爆発を何と呼ぶか。
解答:蒸気雲爆発
問1.火炎が超音速で空間を伝播するもので、そのために衝撃波を伴う爆発は何と呼ばれるか。
演習問題
次の各問いに対して正しいかどうか答えなさい。また、誤っている場合、誤りの部分を正しく直しなさい。
問1.可燃性ガスと空気の混合ガスをある温度以上に保持すると、点火源がない状態でも発火する。
解答:正しい 点火源がない状態で発火することを自然発火と言います。
解説:点火源がない状態で発火することを自然発火と言います。
問2.可燃性混合ガスの最小発火エネルギーは、圧力の増大に伴い増大する。
解答:誤り 増大に→減少に または 増大する。→減少する。
解説:最小発火エネルギーは圧力、温度の減少とともにその値は小さくなる。つまり、圧力、温度の上昇とともに発火しにくくなります。
問3.アンモニアの最小発火エネルギーは、水素・アセチレンよりも小さい。
解答:誤り 小さい。→大きい。
解説:アンモニアの最小発火エネルギーは大きいものの代表である。
問4.可燃性混合ガスの最小発火エネルギーは化学量論組成付近で最大となる。
解答:誤り 最大→最小
解説:最小発火エネルギーは化学量論組成付近で最小となる。化学量論組成付近とは【化合物を構成している原子数の比(組成)が化学式どおりに存在しているような状態】つまり、H2とO2を反応させたときは、モル比でH2:O2=2:1になる時を言います。
問5.一般に、可燃性混合ガスの最小発火エネルギーは、温度が高いほど小さくなる。
解答:正しい 最小発火エネルギーは圧力、温度の上昇とともにその値は小さくなる。つまり、圧力、温度の減少とともに発火しにくくなります。
解説:最小発火エネルギーは圧力、温度の上昇とともにその値は小さくなる。つまり、圧力、温度の減少とともに発火しにくくなります。
問6.常温、大気圧での消炎距離よりすき間が狭い場合、火炎は必ず消炎される。
解答:誤り 必ず消炎される。→消炎されない時もある。
解説:最大安全すきま(MESG)は火炎を消炎できる最大のすきまです。
問7.二硫化炭素、水素の消炎距離は炭化水素化合物の消炎距離と比べて小さい。
解答:正しい
解説:二硫化炭素、水素およびアセチレンは消炎距離の値が小さい代表です。
問8.最大安全すきまは消炎距離は同じすきまである。
解答:誤り は同じすきまである。→よりすきまが小さくなる。
解説:最大安全すきまは火炎が消炎するのに必要なすきまの大きさを表す値で、同じガスにおいて消炎距離よりも小さい値です。
問9.火炎が狭い隙間で消炎することがあるのは、狭い隙間では可燃性ガス濃度が低くなるためである。
解答:誤り 可燃性ガスの濃度が低くなるためである。→可燃性ガスがすき間の壁で冷却されて火炎が維持できないためである。
解説:爆発性混合ガスの中を伝播する火炎も、あまり細い管や狭い隙間を通り抜けることができません。この隙間の限界寸法を言います。
間違い:管までの距離ではありません。
問10.一般に、可燃性ガスの爆発範囲は、高圧になると爆発下限界が低下し、爆発上限界は上昇して、爆発範囲が広がる。
解答:正しい 可燃性ガスの爆発範囲は圧力に依存するため、高圧になるほど爆発原価が広がる傾向にある。
解説:可燃性ガスの爆発範囲は圧力に依存するため、高圧になるほど爆発原価が広がる傾向にある。
問11.一般に、可燃性ガスの爆発限界は、同圧下においては温度が上昇するほど、爆発範囲は狭くなる。
解答:誤り 狭くなる。→広くなる。 可燃性ガスの爆発限界は温度に依存するため、同圧下において爆発範囲が広くなる。
問12.可燃性ガスの爆発範囲は、空気中と比べて酸素中では同じである。
解答:誤り 同じである。→広くなる。
解説:空気中には不活性ガスである窒素が含まれているため、支燃性ガスである酸素のみの方が爆発範囲は広くなります。
問13.酸素容器のバルブを急激に開くと、断熱圧縮されて発火することがある。
解答:正しい
解説:断熱圧縮と摩擦熱によって酸素の温度が上昇し、発火温度以上となり、発火することがある。
問14.粉塵爆発が起こるのは摩擦熱が原因である。
解答:誤り 摩擦熱→静電気
解説:粉塵爆発や可燃性高圧ガスがノズルから噴出するときに発火するのは静電気が原因である。
問15.密閉された容器に保存された低温液化ガスが加圧下で破裂すると、沸騰が生じて爆発的に蒸発することがある。
解答:正しい
解説:物理的な爆発です。
問16.管の中での燃焼が爆ごうへ転移する距離は、燃焼速度が大きく、管径が小さいほど短くなる。
解答:正しい
解説:圧力が高い場合も距離が短くなります。
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