熱の伝わり方には、下記の3種類があります。
伝導伝熱・・・同一物質内または、物質相互間において高温部から低温部へと熱が移動する現象をいう。
対流伝熱・・・固体表面とその周りを流れる流体中との間で、流れによって熱エネルギーが伝えられる現象をいう。
対流伝熱には、自然対流と強制対流がある。
放射伝熱・・・熱を持った物質から電磁波として熱が放射される現象をいう。熱を伝えるのに媒体の助けを必要としない。
熱伝導率λは物質の構造に関係する固有の物性値で、温度に依存します。一般に金属は大きく、次いで非金属固体あるいは液体、気体の順に小さくなります。金属の熱伝導率は非金属固体よりも大きな値を示し、電気の良導体ほど熱伝導率は大きくなります。プラスチックやゴムなどの発泡体、レンガなどの多孔質固体では、その伝導機構は熱伝導だけとは言えませんが、材料内に無数の空気やガスを含む気孔があるため熱伝導率は極めて小さく、工業上、断熱材として使用できます。
熱伝導率の大きさ
銅>アルミニウム>鋼>ステンレス>コンクリート>水>ナイロン>水素>空気
熱貫流・・・固体壁で隔てられた温度の異なる2つの流体間の熱の移動を言います。
熱貫流については、熱交換器に関しての問題として出題されます。ある流体の温度をt1、もう1つの流体の温度をt2とすると、熱流量qは、管壁の伝熱面積Aと温度差および総括伝熱係数の積で表されます。
U:総括伝熱係数、A:管壁の伝熱面積、t1-t2:温度差
熱伝達・・・液体や固体表面間の熱移動を言います。
温度境界層・・・固体と流体の温度差がある場合、両者の接触領域で温度は大きく変化します。 この層のことを言います。
熱放射率・・・すべての物体は、その表面から常に熱放射線を放出しています。熱放射率とは、物体からの熱放射のしやすさを表します。
一般に光沢のある金属面は放射率が小さく、表面が酸化されたり汚染されると放射率が大きくなります。また、絶縁物は一般的に放射率が大きくなります。
黒体・・・受けた熱放射線をすべて吸収してしまう仮想的物体を言います。
放射伝熱・・・放射伝熱のエネルギーEは下記の式で表される。
E = σT4
σ:ステファン・ボルツマン定数、T:絶対温度