溶接
ガスを送る際の配管やガスを保存する容器等を接続する際、溶接を用いることがあります。溶接は融接、圧接、ろう付けの3つに分類することができます。
圧接は、金属の接合部を摩擦や爆発によって加熱し、圧力を加えて接合する方法で、ろう付けは、母材を溶かさずに、「ロウ材」という接着剤を接合したい部品の隙間に染み込ませて接合する方法です。しかしながら、これらの方法はガスが通る配管等に使用されることがほとんどないため、高圧ガスの試験問題には出題されていないようです。
ここでは、高圧ガスによく用いられている融接について詳しく解説していきます。
ガス溶接・・可燃性ガスと酸素を燃焼させ、その炎により母材を溶融させる溶接法です。ガス溶接ではほとんどの場合、アセチレンと酸素を用い燃焼させることが多いです。それはアセチレンガスによる燃焼温度が最も高いためです。
アーク溶接・・アークとは、空気中を電気が通ずる放電現象で、空気中に発生する電流のことです。離れた2つの電極に電圧をかけていくと、2つの電極の間に電流が発生し、同時に強い光と高い熱を発生します。このとき発生する弧(Arc)の光を「アーク」といい、アーク熱を熱源として溶接方法が「アーク溶接」です。現在、高圧ガスの配管等で用いられる溶接はアーク溶接が主流です。それは扱いが容易で、かつ、高い温度になるためです。アーク溶接には、電極の違い等によって様々な種類があります。
被覆アーク溶接・・母材と同材質の被覆アーク溶接棒を電極とし、この心線と母材との間にアークを発生させ溶接を行う方法です。
ティグ(TIG)溶接・・ティグ溶接とは、Tungsten Inert Gasの頭文字を取ったもので、放電用電極にタングステン(Tungsten)を用い、アークおよび溶接部をシールドガス※1で覆う溶接です。
※1 シールドガスとは溶接中の溶融金属の酸素や窒素と反応し、気孔(ブローホール)になることを防ぐ目的で、大気を遮断するために使用されるガスです。アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用います。
サブマージアーク溶接・・あらかじめ粉末状フラックス※2を散布し、その中に溶接ワイヤを自動送給し、溶接ワイヤと母材との間にアークを発生させて溶接する方法です。
※2 フラックスとは接合させる金属の表面にある異物等を除去し、綺麗に除去するものです。
ミグ(MIG)溶接・・・ミグ溶接とは、Metal Inert Gasの頭文字を取ったもので、放電電極が溶け、消耗電極式の溶接法を言います。自動的に供給されるワイヤと母材との間にアークを発生させ、シールドガスで覆い、大気から保護して溶接を行います。
MIG溶接はでは、シールドガスに主にアルゴンを用います。
マグ(MAG)溶接・・・マグ溶接とは、Metal Active Gasの頭文字を取ったもので放電電極が溶け、消耗電極式の溶接法を言います。
MIG溶接と方法は似ていますが、シールドガスに活性ガスである二酸化炭素を用いる点が異なります。
ミグ溶接、マグ溶接はともに消耗電極式アーク溶接と呼ばれます。
溶接欠陥
①内部欠陥
ブローホール・・・溶接金属内にガスが残留したため、空洞が生じたものを言います。
スラグ巻込・・・スラグが溶接金属内に残留したものを言います。
融合不良・・・溶接金属と母材または溶接金属と溶接金属が十分に融着していないものを言います。
溶込不良・・・溶接金属がルート面に達しなく、開先の一部がそのまま残ったもの(溶け込まない部分がある)を言います。
②表面欠陥の種類
ピット・・・ビードの表面に生じた小さなくぼみ穴で表面からも確認できる欠陥です。
※ ビートとは接合面にできた盛り上がりをいいます。
オーバーラップ・・・溶接金属が母材に融合しないで重なるものを言います。
アンダーカット・・・母材または既溶接の上に溶接して生じた止端の溝を言います。
割れ・・・応力・切欠き・溶接熱の影響等が重なり発生します。
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